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仮面の下で微笑んで
仮面の下で微笑んで
一葉一華
BL現代BL
2024年11月19日
公開日
2万字
連載中
 品行方正な男子大学生・晴真が、バイトとして送り込まれたのは──BLコンセプトカフェだった!

 そこは、けも耳をつけた男性キャスト同士が、人目もはばからずにいちゃいちゃベタベタを演じてみせる、全腐女子が垂涎モノの異空間。

 ノーマルな晴真も、先輩キャストで俺様キャラのレオに振り回されながら、だんだんと腐界に侵食されていく。

 しかし晴真は知らなかった。

 バイト先も、出会いも、降りかかる不幸も、全部が仕組まれていた事を。


*コメディかと思いきや、本筋はシリアスです。

*攻属性=俺様、執着
*受属性=ヘタレ、総受

#0・プロローグ


 口に咥えたいちごチョコ味のポッキーが、むこう側からどんどん短くなってくる。


 それと同時に、冷たい光をたたえた瞳が、じりじりと近付いてきている。


 このままでは唇同士が触れ合ってしまうのも、時間の問題だ。



「やっは、むい……!」


ポッキーを唇に挟んだまま、僕は拒絶の言葉を吐く。


 必死で漏らした不明瞭なセリフは、からかうような冷笑でもって、簡単に吹き飛ばされてしまった。


 どうにか逃げたいけれど、首の後ろを手でがっちりホールドされてしまっている。


 唯一の逃げ道は、下だ。


 下しかない。


 勢い良くしゃがめば、この後に起こるであろう惨劇を、どうにか防げるはずだ。


 そうひらめいた直後、腰を強く抱き寄せられ、太腿の間に脚を割り入れられた。


 逃げ道はもう、ない。



 万事休す! と、まぶたをきつく閉じた直後。


 固く引き結んだ僕の唇が、いちごチョコ味の熱く柔らかな唇によって、甘く覆われた。




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