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イカ部! 〜 イカれた奴等の集まる部 〜
イカ部! 〜 イカれた奴等の集まる部 〜
斐古
現代ファンタジー異能バトル
2024年11月19日
公開日
1.4万字
連載中
※必読! 最低入部条件!※ 『普通の人間厳禁!』 『イカれた奴以外は立ち入り禁止!』 『ヘタレもいらん!』 『口が軽い奴もいらん!』 『冷やかしは帰りやがれ!!』 【あらすじ】  宇辻優心(うつじ ゆうしん)は、私立『縁城(よりしろ)学園』に通う高校二年生。  ある特異体質に悩まされながらも、運動・学力・生活面、共に問題はない。そんな彼の、一番の悩み……それは『部活動』であった。  一年前、幼なじみである来栖桔梗(くるす ききょう)と、桔梗の実兄である猫山千里(ねこやま せんり)と共に立ち上げた部活動――――その名は『イカれた奴等の集まる部』、通称:『イカ部』。  それからというもの、部活内で唯一の常識人である優心は、二人に振り回される日々。 「どうせ後輩も入らないだろう……」と諦めていた優心の元に、新入生である瀬辺涼星(せいべ りょうせい)がまさかの訪問!  必死に思いとどまるよう説得する優心の頑張りも虚しく、タイミング悪く乱入してきた顧問によって、涼星の入部はあっさりと受諾されてしまう。  仮入部と言っても、新たな被害者が増えてしまったことに対し、胃を痛めては頭を悩ます優心。それでも無慈悲に時間は経ち、いよいよ涼星を入れた部活動が始まる。 『イカ部』の部活動時間……それは、夜の学校!!  通常、夜間に学園に入ることは固く禁じられている縁城学園。この学園には、とある秘密があった。  それは妖怪、幽霊などの魑魅魍魎がはびこり、異界へと繋がる特殊な地。それを監視・管理するのが、『イカ部』が存在する本当の目的と意味であった。  そして部員である彼らもまた、普通の人には言えぬ不思議な力を持っていて……。  今夜も普段通り、学園内を見回って部活終了……のはずだった。が、予想外の事件が彼らを襲う――――!!  夜の学校を舞台に繰り広げられる『部活動』 × 『怪異』のコメディホラーな現代ダークファンタジー!!  そこの気になるアナタも! さぁ、『イカ部』に入部してみてはイカがかな!?

一学期 〜瀬辺涼星入部編〜

朝礼

 ここは学園の外れにある旧校舎。

 洋館のような出で立ちの旧校舎の空は近づくほど薄暗く、先程まで快晴だったのが嘘のようだ。

 どこからともなく聞こえてくるカラスの鳴き声は、この旧校舎の不気味さをさらに際立たせる。

 普段はその外観の不気味さからだろうか。一般生徒どころか、教師にいたるまで。

 ここに立ち寄る人間は一部を除き、今はほとんど居ないと噂されている。



「おい、そこで何をしている?」



 それゆえに見慣れぬ人間がこの旧校舎を訪れれば、声をかけられることは不自然ではなかった。


「見慣れない顔だな……旧校舎ココに何か用か?」


 目の前の人物はいぶかしげな表情をしながら、恐る恐ると言ったように口を開く。



「……まさかとは思うが、入部希望者か?」


 自分が頷けば、目の前の人物は驚きつつも合点がいったようだった。


「まさか入部内容で、本当に入部希望者が来るとは……世の中、探せば可笑おかしなヤツもいるものだな……」


 目の前の人物の言葉に対し、眉間に皺を寄せてささやかな抗議する。


「あぁ、今のは失言だった。すまない」


 思ったよりも素直に謝られたことで、自分も怒りの矛を収める。


「それじゃあ、部室に案内するよ。ついてきてくれ」


 目の前の人物に促されて、旧校舎の中へと入る。始めて入る旧校舎は、外の不気味な雰囲気とは打って違い、明るく清潔感のある空間が広がっていった。


「外の様子と全然違って、驚いたか?」


 正直に答えれば、目の前の人物は口元を緩ませて笑う。


「一般の生徒や教師が寄ってこないよう、普段はちょっとした仕掛けをしてあるんだ。キミみたいなそういう新鮮な反応は、見ていて面白いよ」


 階段を登りながらそんな会話をしていれば、目の前の人物は急に自分に問いかけてくる。


「一応、確認ではあるんだが……この部活動の最低入部条件は、ちゃんと理解しているかな?」


 その質問に、部活動紹介で貰ったチラシを見せながら頷く。


 数日前に行われた、部活動紹介。

 その際配られたチラシには、手書きでこう書いてあった。




『普通の人間厳禁!』


『イカれた奴以外は立ち入り禁止!』


『ヘタレもいらん!』


『口が軽い奴もいらん!』


『冷やかしは帰りやがれ!!』




「本当……酷い入部条件だと、我ながら思うよ」


 目の前の人物は少し困ったように頬をかくと、何故そうなったのかという理由を話し始める。


「その条件には理由があってさ。君みたいな変わった人間がたまに来るんだけど、大体が冷やかしでね。それにウチの部はほかの部活動とは少し……いや、すまない。冗談を抜きにしても、だいぶ変わっていてね。ヘタレた人間だと直ぐに辞めちゃったり、口が軽いと色々と変な影響がでたりして……そういったことがあって、その酷い最低入部条件ができたんだ」


 そう言って目の前の人物は、苦笑いを浮かべた。


「そんなこんなで、普通の人間の感性ではまず忌避きひするような条件を提示したんだ。おかげでまともな人間は近寄らなくなったよ。……それでもまれに、冷やかしの連中もいるけどね。キミもその一人かな?」


 首を横に振れば、目の前の人物は満足気に頷く。


「うん。キミはそうだろうと思ったよ」


 何故か確信しているような顔をするこの人物に、心の中で首を傾げながら長い廊下を進む。


「もう少しで我らの部の部室だが、着く前にキミに伝えておきたいことがある。ウチの部が他の部活動と変わってるのは、そのチラシや先程の会話で大体察してくれているだろう。ゆえに正式に入部する前に、一度仮入部という形で入部してもらう。それにあたり、キミにはいくつかテストを受けてもらう。なに、そんな身構えるようなことじゃない。簡単なテストだ。キミならきっと大丈夫さ」


 二階にある長い廊下を進み続け、一番奥から数えて三つ目の部屋で立ち止まる。

 教室を示すプレートには、手書きで『イカ部』と書かれていた。


「さぁ、着いたぞ。ココが我らが部活動の本拠地……『イカれた奴等の集まる部』の部室だ」


 そう言って、目の前の人物は取ってに手をかける。




「ようこそ、通称『イカ部』へ」

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