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第19話京都

京都に着くともう時間は夕方を回っていた。

「太一様」

「健二、小鳥遊は?」

「清水寺の上で待ってます」

「じゃあ行こうか」

車に乗って清水寺に行く道中東大寺で起きた出来事を健二に話した。

「それで住職さんは大丈夫だったんですか?」

「ああ、それなら多分大丈夫。目には特に異常は見られなかったしそれに念のため式神をつけてある」

「それなら安心ですね」

「本人は乗り気じゃなかったけどな」

「誰を付けたんですか?」

「白虎だ、あいつなら大抵の事なら何とかなるからな」

「白虎ですか」

「やっぱりチョイスミス?」

「うーん、白虎は性格に難があるので」

「それなら大丈夫だ」

「どうしてですか?」

「大好物出すって言ったら二つ返事でいいって」

「またあのパフェですか?」

「ああ、外で誰の目も気にせず式神を出せるのは爺ちゃんの喫茶店しかないからな」

「だからって」

「爺ちゃんのパフェは絶品だからな」

「そう言う事じゃなくて」

「まあまあ」

爺ちゃんは父方の叔父で東京で喫茶店をやっている。俺が中学の時に引き取りながら喫茶店をやっていて父さんの前の安部家の当主をやっていて俺が生まれる前に引退していて当主をやっている時から喫茶店を開きたいと思っていたらしく老後の楽しみだと言っていた。

爺ちゃんは俺が生まれて術に恵まれなくても喜んでくれた数少ない人間だ。

「じゃあ私は駐車場に車を止めてくるので先に行ってください」

「分かった」

清水寺の下で健二と別れて清水寺の上へと向かった。

坂道は急で少し運動不足を感じた。

上には沢山の観光客で溢れていて人混みの中では外国人もいた。

「あいつはどこにいるんだ?」

きょろきょろと見渡していると柵の前で京都の景色を見ていた

「清水寺から見る景色は絶景だな」

「来たんだ」

「来たら悪いか?」

「いや、別に」

「この景色は良いな」

「良いって中学の修学旅行で来なかったの?」

「俺、修学旅行行ってないから」

「え?なんで?」

「此処は平安の都だぞ」

「それが?」

「当時の俺では倒せない怨霊がうようよと存在していたから修学旅行が京都って親が知った時に行くことを禁じられた」

「そんな事も介入するんだ」

「まあ俺の目が覚醒して術も受け継がれたものが使えるって知った時から急に俺を過保護に接してきたからな」

「最低だね」

「はは、そうだな」

「嫌じゃないの?」

「なにが?」

「だって家の仕来りとかそういうの普通嫌うでしょ」

「まあ俺は友達もいなかったし退屈はしなかったけどな」

「そう言う事じゃなくて」

「でも俺もそれなりに無理を言ってるし俺と父親とは契約上の関係だからもう慣れっこだ」

「そうなんだ」

「太一様、小鳥遊様」

「お、来たな」

「健二お前も見てみろよ絶景だぞ」

「そうですね」

「じゃあ帰るか」

「私来たばっかりですけど」

「また来れば良いだろ」

そうして俺は歩きだした時に小鳥遊に呼び止められた

「ねえ」

「何?」

「京都始めて?」

「そうだけど」

「じゃあ明日京都巡りしようよ」

「明日帰る予定なんですけど」

「いいじゃん折角夏休みなんだから」

「いいではないですか」

「健二お前まで」

「さあそうと決まったら明日どこ行くか決めませんと」

「そうだね」

「まったく、困ったやつだ」


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