「とにかく、落ち着いて話しましょう。
詩音さんの場合、
多分約束を違える事は無いかと」
「
それに最初から関わっていたんですから、そこは大丈夫なんじゃ
ないですか?」
私・武田裕子と弥月さん
彼女は静かになる。
「ただ向こうは血縁を欲しがっているだろうから、相手は女の子に
なるだろうね」
倉ぼっこの理奈さんが補足して語る。
これで詩音さんの方はいったん片付いたとして―――
「問題は理奈さんね……ここ、どうあっても出会いが少ないし」
「加えて『人外ですけどよろしくー』という条件を飲んでくれる人が
どれだけいるか、ですね。
まあ理奈さん美人だし可愛いし、そこのハードルは軽く超えて
来そうだけど」
それにいつまでも若い、というオマケまでついているものね。
そこは同性として素直にうらやましくもあるけど。
「……そういえば理奈さんは、
無かったの?」
おずおずと私が問うと、
「ミツの事は子供の頃から知っているけど―――
そういうのは無かったかなー。
『子供の時だけ』、仲が良かった友達の1人って感じ?」
そうか。座敷わらしみたいな妖怪って言ってたし……
満浩さんは子供時代に仲が良かった、大勢の子供のうちの1人って
いう事になるのね。
彼も見えたのは小学校時代くらいって言ってたし、そうなると恋愛関係に
発展するのは難しいのかも。
「まあさっき部長が言っていた通り、出会いが少な過ぎるのが
問題だと思いますよー。
ここは1つ、行動範囲を広げてみるのも手かと」
弥月さんの発言に私はうなずき、
「とは言っても……
確か、街まではみんな行けたのよね?
いっそ東京まで出てみるというのは?」
すると人外の2人が微妙な表情となって、
「行く事自体は問題無いと思うけど、他の
入ったりすると、面倒な事になる可能性もあるんだよねー」
「それに
基本、妖というのは自分の住処から離れないものですし」
「それは一度、ご相談してみた方がいいかも知れませんね―――」
こうして話し合いは進んでいき、あの鬼っ子さんの意見も聞いてみる
運びとなった。