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第138話・初顔合わせ01


「えーと……」


あやかし?」


自分の実家となった東北の田舎の家で、弥月みつきさんのご両親と舞桜まおさんを

会わせる事が決まってから、一週間後の土曜日―――


まずは私と裕子さんがそのご両親を出迎えたのだが、父親はともかくとして、

母親と称する女性……

いや、まだ10代前半くらいにしか見えない少女を見て、2人で困惑していた。


「すいません、母は童顔どうがんというかすごい若作りなので」


「ていうかお母さん、その格好恥ずかしいでしょ!」


琉絆空るきあさんと加奈かなさんが玄関先で家族でざわつき始め、


「何を言っているんだ!

 これは母さんの実家の、伝統ある妖退治用の衣装で……!」


父親が息子と娘をたしなめるように話す。

確かに、コスプレと言っても差し支えない、巫女のような格好をしているけど。


「あら、違うわよあなた。これは私のただの趣味で」


「待って? 結婚歴30数年目にして初めて知る事実なんだけど?」


少女のような妻の答えに、武人のようないかつさを持つ夫は目を丸くして驚く。


「え、だって……

 こういう和服の方がその、あなたが燃え上がるから……」


「あー、それは間違いなく琉絆空殿に血が受け継がれております」


いつの間にかナイスバディの赤肌の鬼が会話に参加し、


「(うーん。確かに鬼の舞桜さんには似合いそうだけど)」


「(和装は日本の男の遺伝子に訴えかけるものがあるだべなあ)」


俺と川童かわこの銀がしばらく無言で魂の会話をしていると、


「おーい。男どもー。何かしゃべれー」


「取り敢えず、家に上がったらいかがでしょうか」


そこに倉ぼっこの理奈と野狐やこの詩音も加わり―――

全員そろったところで、改めて家の中で顔合わせをする事になった。



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