「それじゃ、乾杯!」
「「「かんぱーい!!」」」
老舗旅館『
全員がいっせいにコップを掲げ、隣りの相手と打ち付け合う。
集まったメンバーは大所帯で、まず俺と裕子さん、倉ぼっこの理奈。
それぞれの相手、
と、こちらは11人。うち
「こうして見るとずいぶん多いな……
まあウチが言えた事ではないが」
あちらの代表である
その両隣りには、眼鏡をかけた
そしてそれにちょっかいをかけようと周囲をウロウロする
また
一つ目小僧の
男性陣で固まっていた。
向こうは8人。元人間かどうかを考えなければ全員が妖怪だ。
合計19人中12名が人外と、少し前までは考えられない宴会に
なっていた。
「いやあ、こんなに若いお客さんがたくさん来たのは、いつ以来かねえ」
料理を運んだり食器を片付けたりしながら、女将さんが話す。
実際、こちらの女子高生3人組とあちらの人見君は、かなり平均年齢を
下げているだろう。
そうなるとそろそろアラフォーになる自分が一番年上になるのか……
あ、でも妖怪たちはそれこそ百年単位で生きているから足して2で割って……
うーん、わからん。
「はー、
「私たちの彼氏でーす♪」
向こうでは詩音&3人組が別の中居さんらしき人と楽しく話し、
「あらぁ~、
「そうなんですよ~」
「じゃあ絶対、彼氏さんにはこっちで結婚してもらわないと」
と、あちこちで旅館の人も入り乱れての飲み会のようになってしまっていた。
「おいおい、いくら顔見知りがいるとはいえ金もらってんだから―――」
「いえ、こちらも無理言って旅館で働かせてもらえている身だっぺよ」
「ちょうどいい機会だから、普段の様子も聞きたいですし。
まま、どうですか一杯」
板前らしき人の注意に銀と俺がフォローに入り、お酒を勧める。
「そーですよもー、銀ちゃんも人見ちゃんも時雨ちゃんも……
あ、もちろん麻夜ちゃんも看板娘よ」
と、職場での評判は上々で何より。
「……いやいや、男に甲斐性がありゃいいんですよそんなの」
「むしろ自分たちで養ってやるって気概くらいないと」
「そっそうですよね……!」
「今は主夫も珍しくないですし……」
いつの間にか裕子さんと理奈が、飛縁魔さん・雪女さんと小声で何やら
話し始め、
「うぉーい独身組、飲んでるかー?」
「余計なお世話だ」
「僕にもいい人がいればなぁ」
麻夜さんが烏天狗さん、煙羅煙羅さんに絡むと、
「あら~、じゃあ親戚の子とお見合いしてみる?」
「あの子か? 確か跡継ぎがいないって話じゃなかったか?」
「そ、だからこっちに婿入りしてもらう事になるけど」
「ちょっ、いきなり重いですって!」
と、宴会はいろいろ盛り上がっていった―――