「え……あ……? こ、ここは……」
3人が次に目覚めた時には、どこか古びた日本家屋の広間に寝かされていて、
「あっ! ミツー、目が覚めたようだよー!」
女性の声が聞こえ、そちらに目をやると―――
黒髪ロングの少女がパタパタという足音と共に、遠くへ引っ込む姿が見え、
「気が付きましたか。
あなたたちが倒れているのを、近くの人が見つけたんです。
多分、熱射病か暑さでやられたんでしょうが」
30代半ばの人が良さそうな中年男性が出て来て、彼らを気遣う。
同時に、他の2人も目が覚めたようで、
「うぅ……こ、ここは?」
「俺たち、いったい……」
すると眼鏡をかけた秘書風の女性が、さっきの童顔の女性と共に来て、
「まずはお飲み物を。水分補給してください」
「す、すいません」
そして3人は冷たい麦茶を受け取ると、ようやく人心地ついた。
「はぁ……道に迷った、ですか。
しかしいくら一本道とはいえ、ここまで歩きで来るのは―――」
「特に今日は暑いですしね。
レンタカーとか借りれば良かったのに」
「いくら体力に自信があると言っても、無茶はダメだよー」
家の主である自分と裕子さん、倉ぼっこに言われて彼らはシュンとなる。
まあ実は、彼らを迷わせたのは
30分ほど前、野狐たちからすでに連絡を受けていた俺たちは
今後の対応を協議し、
また彼らの話しぶりからするに、嫌々こちらを調べる事を断れずに
引き受けたようなので、
彼らを野狐たちの力で前後不明にした後、意識
我が家に運び込み、
介抱と称して彼らと接触する事にしたのである。
目的は2つ。
1つは、下手に敵対したり
多分、倉ぼっこが人外である事くらいは気付いているだろうし、
ここでどういう生活をしているかわかれば、彼らの調査任務も達成されるだろう。
もう1つは―――情に訴えかける事。
なので鬼の
顔を見せるように連絡し、
また一つ目小僧の
旅館『
そこで『歓待』するよう、話を通しておいた。
「す、すいませんでした。
じゃあ俺たちはこれで―――」
そう彼らが立とうとするが、
「いや、もし熱射病とかだったらまた倒れたらマズいですよ!
何なら救急車を呼びますけど」
「べ、別にそこまでしなくても……
多分、しばらく休んでいれば回復すると思いますから」
それでも外へ出ようとする彼らに、裕子と理奈が、
「あの~……
この辺り、人家ってありませんよ?
駅まで戻るつもりですか?」
「休むのならエアコンが効いているココの方がいいと思うけど」
という追撃に彼らは顔を見合わせ、
「じゃあ、すいません」
「お言葉に甘えて―――」
そして彼らは、ここで休んでいく事になった。