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ダンジョンショップ~趣味でダンジョンの中で店を出していたらいつの間にか迷宮七不思議に数えられてました。
ダンジョンショップ~趣味でダンジョンの中で店を出していたらいつの間にか迷宮七不思議に数えられてました。
四季 訪
現代ファンタジー現代ダンジョン
2024年11月29日
公開日
11.9万字
連載中
ユニークスキル【どこでもショップ】を使ってダンジョンの中でひっそりと商いをすることが僕の趣味だった。 そんなある日、僕の店に有名美少女ダンジョン配信者が現れて、偶然、目の前で泥棒をフルボッコにしたことによって僕の店が大バズリ。 それもどうやら迷宮七不思議とやらにいつの間にか数えられていたらしく、それが配信に乗ったものだからダンジョン配信界隈は大賑わい。 うーん、別にお金に困っている訳ではないけど、ネットの盛り上がり方が面白いから配信者たちウェルカムでいこう。 あ゛?金はちゃんと払えよ、っておい、どこ行きやがる、、、カネェ゙!!置いてけぇぇえええええ!!

第1話 始まり

 「材料はこんな感じで良いかな」


 男が魔物を倒し、そのドロップ品をかき集めていた。


 必要数に達したのを確認して、満足そうにうなずく。


 「よし!今日もDDショップ営業開始だな!」


 男はそう言うと、突然現れた空間の歪みの中へと消えていった。





 ───────





 「みんなーー!今日も元気ー?私は今日も元気にダンジョン配信!今日は第六階層の大醜鬼ホブゴブリンを倒して行きたいと思いまーす!!」


 ────ソロで第六階層!?


 ────流石実力派


 ────パーティーでも第六階層は鬼門だっていうのに


 ────大醜鬼ホブゴブリンか、色んな意味で楽しみだな


 ────ちょめちょめされてほしい


 アイドルの様に可愛らしい見た目の女性は宙に浮かぶ、自動追尾機能付きの高画質カメラを傍に漂わせ、片目だけのサングラスに映る視聴者たちのコメントを見ながらダンジョン探索を進めていく。


 第五階層から始まった今日の配信は、その階層の魔物たちをばったばったと小刀で斬り伏していく華麗な姿から始まった。


 その女性の強さにコメント欄も大盛り上がりだ。


 ────やっぱユニーククラスつえぇ!


 ────アイエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?


 ────選ばれし者


 ────五階層程度の敵は流石に雑魚扱いやな、ひなっちからしたら


 大人気ダンジョン配信者、桜咲さくらざき 小雛こひなは他の探索者とは一線を画す中級探索者と呼ばれる存在であり、ダンジョン技術革命後に生まれたダンジョン配信者のトップランカーの一人だった。


 探索者の中であっても存在の珍しいユニーククラスとそれを担保とする実力、そして恵まれた容姿も相まって、数いるダンジョン系配信者の中でも大手と呼ばれるほどのチャンネル登録者数と、同時接続数を誇っていた。


 そして小雛は今日も同接2万人を携えて、探索者の登竜門、第六階層へと乗り込んだ。





 ────────





 「やぁあ!!」


 気合の入った掛け声と共に小雛の小刀が、既に息も絶え絶えの大醜鬼に止めを刺した。


 「これで四体目!どう、みんな!私強いでしょ!」


 ────つよい!


 ────これはつよつよですわ


 ────忍べよ


 ────忍者が忍ぶわけないだろ!いい加減にしろ!


 通算四度目の大醜鬼の討伐を終えた小雛に舞う称賛コメント。


 それに気持ちよさそうにはにかむ小雛。


 その可愛らしい様子に賑わうコメント欄。


 ひと昔前では考えられないほのぼのシーンだった。


 小雛が塵へと消えた大醜鬼からドロップした魔石と耳を拾ってバッグにしまう。


 「ホブの耳も大したお金にならないんだよねー」


 ────最低保証金額!


 ────だって利用価値ないんだもん


 ────ホブって稼ぎとしてはゲロマズだよね


 小雛がコメントにうんうんと頷いていると、レンガ造りのダンジョンの壁が渦を巻くようして歪んでいることに気付く。


 「なにあれ……?」


 ────歪んでる?


 ────渦巻いてるよ


 ────あり得無くね?


 ────まさかイレギュラー?


 ────逃げた方がいいかも


 不安になるコメント欄だが、中には近づけといったコメントも多く見受けられる。


 (もしかしたら、バズるかも)


 配信者魂に釣られた彼女はゆっくりとその渦に近づいて手を伸ばす。


 「え、えっ、えぇ!?」


 壁の渦に吸い込まれるようにして小雛がその場から消える。


 ────え?


 ────消えた!?


 ────放送事故


 慌てふためくコメントと面白がる意見の二つに分かれ、流れが速くなるコメント欄。


 そして主を求めるようにして、自動追尾型のカメラもまた、渦の中へと吸い込まれていった。

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