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第16話 ご褒美の時間

 一緒に帰ってきて、鍵を閉めた瞬間に、もう我慢しなくていいんだって思ったら、キレた。

 要さんの住むマンションは、防音もしっかりしてると思う。

 思うけど、玄関のドア閉めたとこでいたしてて、外に聞こえないかっていうと、微妙なんじゃないかと。


「あ……か、なめさ……や、もう、もう……あ、あ……」

「だーめ、もうちょっと……ああ、なっちゃん…かわい……いい、めっちゃ、いい……」

「……ぅん……ぁ……こえ、が……」

「うん、いい声。かわいい……ね、なっちゃん……」


 でも、我慢できなかったんだ。

 靴を脱いですぐにキスをねだって、そのままネクタイを引き抜いた。

 オレから仕掛けられたのは、そこまで。

 後は火がついた要さんが、オレの身体を隅々までかわいがってくれている。

 そりゃあもう、今までの経験なんてなんの意味もないよねっていう勢いで、隅々まで。

 思いもよらないようなところまで、触れて撫でて、舐めて噛まれる。


「せっかくだから、色々と考えてたのに、悪い子だね…なっちゃん。かわいい……ほら、もっと啼いて?」

「ああっ……や、だ? 要さん…悪い子、やだ……? あ、ああ……ん、や、出した、い……」


 さんざん喘いで、半分泣きながら強請って。

 自分の服を脱ぎ捨てたのはなんとなく記憶にあるけど、要さんがいつ脱いだのかはわからない。

 要さんに誘導されるままに飾り棚に縋りついて、背後を明け渡す。

 後ろから腰を支えた要さんが、指で繋がるとこを解していく。


「なっちゃん……なっちゃん、行くよ……受け入れて…」


 フラフラで自分で立ってるのがやっとの状態で、要さんを受け入れる。

 グイっと中をえぐられる。


「ぅああ……あ、あ……」

「きもち…い、ね……ね、なっちゃん」

「ん…ん、きもち……あ、かなめさん……かなめさ……す、き……かなめさん……」


 大きくてアツくて苦しい。

 でも、嬉しい。

 いつもオレのことをいっぱい考えてくれてる要さんが、何も考えられないくらいオレに夢中になっちゃうの。

 もっと、要さんもダメになっちゃえばいいのにって思う。

 オレはもう、要さんがいないとダメダメなのに。


「んあっ…あ、や、そこっ……」

「ここ?」


 要さんがオレに密着しようと右足を持ち上げて、オレは悲鳴を上げた。

 要さんは背が高いから、ほとんど宙に浮いた状態だ。

 根元を押さえられて、出すものも出せなくて、オレはヤダヤダと首を振る。


「ああ、ん……かなめさん……かなめさ、ん……、すき……」

「かわいいね、なっちゃん……ほら、頭ぶつけちゃうから、もう少し、我慢しようか?」

「ゃ……あ、もっと…かなめさん……」


 持ち上げた足をグイって動かすから、オレの中も要さんのでうにょんって動く。

 それが気持ちよくって要さんに抱きついた。


「なっちゃん、しっかりつかまって」


 かわいいけど怪我しちゃうと、要さんが呟いて、オレを持ち上げた。


「え……? あ、や、あっ……あっ」

「ちょうどいいサイズ……このまま、ベッド行くよ」


 ひょいっと、駅弁スタイルになって要さんは歩きはじめる。

 足が動くたびに、振動がオレの中に伝わる。


「ああ、や、ふかぁい……あっあ」

「焦らなくても、まだ時間はいっぱいあるからね、ゆっくり楽しもうね」


 楽しそうな要さんの声に、うんうんとうなずいたつもりだったけど、歩きながら泣きながらで、伝わったかどうかはわからない。

 でも。

 いっぱいベッドで愛し合って、落ち着いたのは朝だったから、伝わったんだと思う。


 好き。

 要さんが好き。


「なっちゃん、大好きだよ」


 声は出ないけど、オレが伝えようとした言葉を要さんが口にしてくれるから、嬉しくてキスをした。

 そこからまた始まっちゃったのは、ご愛敬だと思う。


 だって、やっとのご褒美だからね。



 終


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