満天星きらり:ミリーずるい!
アーリー・ダブクロス:探索なんてしてる場合じゃなかった
似鳥ゆえ:急いで戻ります
鳩胸みかり:私たちの分も残しといてよ!?
灰崎イチカ:私は仙桃が買えればいい
コメント欄で閃光の剣の先輩たちが荒れている。
「わ、わかりました……。みなさんにも売れるように、たくさん持って帰りますので。」
美織がそう言ったことで、歓喜の雄叫びを上げた後、ようやくコメント欄は静かになった。こうしてコラボ配信は終わった。
配信終了後、美織とルカルカとトークアプリの連絡先交換をおこなった獄寺ちょこは、頬を染めてスマホの画面をじっと見ていた。
連絡先の交換なんて初めてのことだった。
それも待望の女の子の連絡先。ギャルの見た目でかつ美少女なだけに、ナンパしてきた男に連絡先を聞かれることはしょっちゅうだったが、女の子に聞かれたことはなかった。
美織はもともと食べ食べ配信終了後に、連絡先を交換するつもりでいたが、ルカルカはそんなつもりはなかった。
だが美味しそうに料理を頬張る獄寺ちょこの顔と、相反するように口から飛び出るツンな言葉に、すっかり絆されてしまった。
配信者ルカルカとしては、獄寺ちょこに何度か迷惑はかけられていたが、単に構って欲しかったことの反動だったとわかった今となっては、正直憎めない気持ちがあった。
自分と交換した連絡先を嬉しそうに眺めている獄寺ちょこの後ろ姿を見て、まあ今までのことはいいか、と思うルカルカだった。
瀬戸内ミリーが美織と顔を合わせてお互いニコッとする。早速タイラントクラブの残りを食べる中、閃光の剣の職員がやって来て、タイラントクラブの堅鋏の買取値段を美織に提示してきた。
「通常品ですので、70万でいかがでしょうか?問題なければ一週間以内にお支払いいたしますので、こちらに記入願います。」
「はい、問題ありません。」
美織は差し出された書類にサインをし、帰りに女神の息吹で売る為に用意していた通帳や身分証などを職員に手渡した。少しするとコピーを取った身分証などが返却された。
このお金は振り込まれたら母親に渡す予定のお金だ。マジックバッグも買えたし、武器も持っているので、美織としては今のところ必要なお金というものがない。
親が渡してくれるお小遣いでじゅうぶんな生活をおくっていた。仙桃もギルド閃光の剣で買ってくれるというのなら、大量にマジックバッグに詰められるだけ持って帰ろう、と思いながら、美織は閃光の剣をあとにした。
「おかえり、ご飯の準備出来てるよ。」
今日は夜勤明けの休みで家にいた母親の
美織を少し大人っぽくした感じの、実年齢がわからないくらいの童顔で巨乳の美女だ。童顔巨乳は確実に母親の遺伝である。
「おねえちゃ、おかえり。」
依音もとてとてと走って来て、美織に抱きついて出迎えてくれた。
「ただいま、お母さん、依音。今日はね、お土産があるんだよ?」
「あら、何かしら。」
「じゃ~ん!タイラントクラブの身肉だよ!今日ドロップしたんだあ!」
「あら、この間のシャトーブリアンに続き、また食べ物がドロップしたの?」
「うん、スキルのおかげでね!今日はコラボ配信で、ギルド閃光の剣さんのところでも食べてきたんだけど、まだたくさんあるから、明日一緒に食べよう!」
「まあ、カニなんて何年ぶりかしら!」
「ダンジョン食材だから、そこらのカニなんかよりも、ず~っと美味しいんだよ?」
「あらあら、それは楽しみね。」
美音は嬉しそうにそう言うと、大きなタッパーを持って来て、タイラントクラブを受け取ると、冷蔵庫にそれをしまった。
「美織がお父さんみたく探索者になるって言い出した時はどうなるかと思ったけど、無事に毎回帰ってくるし、こうしてドロップ品も取れるようになったみたいで安心したわ。」
「心配かけてごめんね、お母さん。でも、家にお金を入れようと思ったら、うちの学校じゃ探索者しか出来ないから……。前回はドロップ品でマジックバッグを買っちゃったけど、今回は普通に家にお金を入れるからね。」
「私が夜勤を増やせばいいだけなんだから、そんなに無理しなくてもいいのよ?」
「嫌だよ、依音だってまだ小さいのに、お母さんといられる時間が殆どないもの。」
「美織……。」
「寂しい思いをするのは、私1人でじゅうぶんだよ。だからお母さんが普通の時間の仕事につけるよう、私が頑張るからね!」
「無理だけはしないでね、美織。」
美音がそっと美織を抱きしめて、背中を撫でる。美織はこっくりとうなずいた。
────────────────────
この作品は読者参加型です。
アンケートが出たらコメントお願いします!
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
ランキングには反映しませんが、作者のモチベーションが上がります。