悪魔から多くんことを学んだ。
「言葉は毒にも薬にもなる。」
「恐れに支配されるな。希望を灯し、自らの道を照らせ。」
私はこの教訓を抱き、神として、言葉と力で新しい時代を導いていく。
人類は、長い戦争と混乱の果てに新しい時代を迎えていた。トラプトニアンは地球を去り、私は「翼を持つ女神」として人々に崇められるだろう。
私は、宗教の神ではない、真理の神だ。盲目的な信仰ではなく、真理を通して人類を導く存在。
広場の群衆が見上げる空には、雲の裂け目から金色の光が差し込んでいた。その光を背に、私は翼を広げゆっくりと地上に降り立つ。
「我が民よ、恐れることはありません。今こそ新たな未来を築く時です。」
その声は風に乗り、すべての人の耳に届いた。彼女の翼は太陽の光を反射し、神々しい輝きを放っている。
その光景に、人々は息を呑み、静かにひざまずいた。その姿は、彼らの中に芽生えた希望と決意を象徴しているようだった。
私は静かに空を見上げた。
「また会いに来る、と言ってたけど……いつになるのかな。」
広がる青空を見つめながら、自然と微笑みが浮かぶ。その背中では、かつて悪魔から受け取った翼が淡く光を放っていた。
「あなたとの幸せな日々を、今でも覚えてる。みんなが幸せだと思える世界を作るために、私はこの星を守り続ける。」
その時、ふと頭に響く声があった。イモケンピの低く冷ややかな声だ。
「忘れるな、悪魔とは狡猾なものだ。」
その声が頭の中に響くと同時に、イモケンピとの思い出が次々と蘇る。
「ん?……あいつ、私の計画を全部知ってたのか?私の魂に触れたな?」
私はわずかに眉をひそめ、再び空を見上げた。
「優しき悪魔め。」
ふっと笑みがこぼれる。
「早く会いに来い。缶詰をたくさん用意しておいてやる。」
神は人間の地に降り立った。だがその神が調和の守護者なのか、終末の使者なのか。それは、まだ誰にもわからない。ただ一つ確かなのは、悪魔の教えを胸に、地球が新たな未来を迎えたということだ。
(完)