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モンスターあふれる世界を外れスキル【日用品マスター】で生き延びる!
モンスターあふれる世界を外れスキル【日用品マスター】で生き延びる!
一森 一輝
現代ファンタジー現代ダンジョン
2025年02月08日
公開日
19.7万字
連載中
数年間ニートしてたら、世間がダンジョンで様変わりしていた。 俺のいる地域は、何でも「ダンジョンスタンピード隔離地域」とかで、ダンジョンからあふれ出したモンスターが、街を闊歩してるんだと。 生き残るためにアプリでスキルを覚醒させたら、『日用品マスター』とか出てきたし。ザコスキルすぎる。 そう思っていたのに、行きがかりで助けた自称S級冒険者の女の子や有名ダンジョン配信者の女の子に、懐かれ過ぎてしまったようで……? ―――実際は最強スキルを手に入れたのに、ザコスキルと勘違いしたニートの、マイペースサバイバルの話。

第1話 【悲報】ニートワイ、ダンジョンスタンピード隔離地域に取り残される

1:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

まずダンジョンがどういう事だよ


2:名前:ダンジョンマニアの名無しさん


3:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

あーあ、死んだなイッチ


4:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

ご愁傷様


5:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

待て待て待て待ってくれ

何も分かんないんだニートだから。ずっとゲームしてて社会常識がないんだ

ダンジョンって何だよマジで


6:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

ファッ!?


7:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

今時ダンジョン分からないってマ? あんだけニュースになってんのに?


8:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

ニュース見ないから……


9:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

はーつっかえ


10:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

ggrks


11:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

解散解散


12:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

ここの住民冷たくないっすか……?


13:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

つーかまずはコテハン付けろや

お前のレス見失うんだよ



14:名前:隔離ニート

ごめんて……



15:名前:ダンジョンマニアの名無しさん


16:名前:ダンジョンマニアの名無しさん


17:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

お前の潔いコテハンに免じて教えてやろう

ダンジョンっていうのは、数年前に現れ始めた謎の空間のことだ

中ではモンスターが湧いてきたり、魔石とかの新素材が取れたり、宝箱から財宝が出てくることから

民間で「ダンジョン」って呼ばれ始めたのが定着した奴


18:名前:隔離ニート

まんまゲームじゃん


19:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

それはそう


26:名前:隔離ニート

ひとまずダンジョンは分かった

スタンピードって何よ


27:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

ダンジョンスタンピードってのは、

ダンジョンからモンスターがあふれて、街中にモンスターが流れ込んでくることだ

んで隔離地域ってことは、隔離しないと他の地域もヤバいから閉じ込めるってこと


28:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

要するに

お前の済んでる地域、モンスターだらけで人が住めねぇっておwwwwww


29:名前:隔離ニート

ヤバすぎだろ

数年前で常識がとまってる人間としては信じられん


30:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

さぁ、家から一歩前に出てみたまえ……


31:名前:隔離ニート

家から出たら即死ってことですかヤダー!


32:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

マジで知識ないのなイッチ


33:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

つーかニートならダンジョン配信とか見ないの? そこで最低限の知識つかないか?


34:名前:隔離ニート

なぁにぃそれぇ?


35:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

ダンジョンで配信者が「うぃ~っす! 視聴者君見てる~? これから視聴者君が気になってたこのダンジョン、攻略しちゃいま~す!」ってやる奴よ


36:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

ノリがNTRビデオなの草


37:名前:隔離ニート

アレってゲーム映像じゃなかったんですか……?


38:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

にしてはリアルすぎるだろ


39:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

でも隔離地域の人間の話聞くのちょっとおもろいわ

こんなに知識なくても生きられんのな


40:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

日頃の生活とかどうしてたん?

つーかスペック貼れ


41:名前:隔離ニート

スペックぅ~? 仕方ないなぁ~

これ俺のスペック

27歳男

クッソガリガリ。背は普通。断食三日目(食料尽きた)

新卒でブラック企業を一年間勤め、心身ボロボロになって退社

そこからズルズルニート生活四年目


スレ立てたのは、流石に腹減ったのと、

『ダンジョンスタンピード隔離地域の皆様へ』って政府からのメールが来たから


42:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

断食wwwww三日目wwwwww


43:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

隔離地域でちゃんと困窮してて草


44:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

逆にそこまでは飯食えてたんだな


45:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

確かに

隔離地域ってあのデカいのだろ? 何食ってたんだニートなのに


46:名前:隔離ニート

出前取れたんだよ三日前までは

今は『対応外地域です』だってさ


47:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

あー……っていうと、あのドローンで出前を頑張ってた会社かな


48:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

ってことはアレじゃん

ドローンで出前したらモンスに壊されるくらいヤバい地域ってことじゃん


49:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

コレ死ゾ


50:名前:隔離ニート

ひぇ……怖いンゴ……

でも腹減ったよ俺……。どうすりゃいいんだ……


51:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

家から出て探しに行くしかないだろ


52:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

コンビニとか漁れば、ギリ缶詰とかは生きてんじゃね?


53:名前:隔離ニート

コンビニもそんな感じなの?

営業とかってしてないのかもう


54:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

配信で隔離地域の街並みたまに見るけど、ガッツリ廃墟だらけよ


55:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

期待はしない方がええやろなぁ


56:名前:隔離ニート

クソォ……! どう足掻いても出るしかないのかクソォ……!


57:名前:ダンジョンマニアの名無しさん

はよ家から出ろヒキニートwwwwww


―――――――――――――――――――――――――――




 俺こと、物部ものべ たくはPCでスレを見るのをやめ、「家出るのヤダ~~~……!」と顔面をくしゃくしゃにした。


 ――――職歴ほぼなし二七歳独身Fラン大学卒ニート。それが俺についての、極めて端的な説明だ。


 普通の両親に育てられ、普通にもなれなかった男。得意なのはゲームだけ。欠点はビビリなところ。


 ブラック企業に一年勤めて心身ともにボロボロになって退職して以来、ずっとゲームにのめりこんできた。


 それが何でこんなスレを立てたかと言えば、腹が減ったから、という点に尽きる。


「ちょっと前に出前アプリのサービスが停止したんだよな……。で、出かける前に『ダンジョンスタンピード隔離地域の皆様へ』とかいう通知が来て、スレ立てて、今、と」


 ビビリが功を奏して、まったく理解していなかった社会情勢を知れた、というところ。


 だが、状況そのものは最悪のままだ。


「外でなきゃいけないし……! 外には危険生物がうろうろしてるかもしれないし……! 外でなきゃいけないし……!」


 うぐぐと唸るが、それでも動かず餓死するわけにもいくまい。


 俺は重いため息をついて、椅子から立ち上がった。


 という事で、物資調達開始である。俺はまず何が必要かを考えて、押し入れの奥にあったデカイリュックを取り出す。


「これに、回収した缶詰を詰める、と……」


 呟いた時点で、何かごそっと背中に重しがのしかかる感覚にげんなりする。


 くっ、長年のニート生活がたたって、準備だけで精神力が削られる……! 嘘、俺のMP少なすぎ……!?


「いや、ダメだ。流石にこれで『もう今日は疲れた』って寝込むわけには行かないって」


 俺はへこたれ始める精神を叱咤して、さらに押し入れを探索。


 すると、バールを見つけた。


「……うわ、なにこれ重……」


 手にずっしりする感覚。武器がいるかな、と取り出してみたが、これはダメそうだ。俺には到底振るえない。


 何でこんなものが、と考え、そう言えば親父が『災害用だ』と置いていったことを思い出す。


「使えねぇモン置いてくなよなクソ親父」


 俺は自分の貧弱さを棚に上げて文句を言う。何か虚しくなるが気のせいだ気のせい!


「となると、モンスター(?)に出会ったら逃げる一択だな」


 俺は呟きながら、押し入れから這い出て起き上がった。それから、それ以外に使えそうなものがないことを確認して、玄関扉に近づく。


「ぅ……」


 精神的な重圧が重くなって、手がとまる。


 気が重い。嫌な記憶がのしかかる。引きこもり時代の記憶が俺を蝕む。しかしそれも空腹には勝てず、俺は玄関扉を押し開いた。


 そしたら何か緑の小人みたいなのがいた。


 腰ミノを巻いて、棍棒を持ってた。


 俺はそっと扉を閉めた。

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