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第114話 富士山攻略編⑦~エンシェントドラゴン戦~

(俺が黒いドラゴンと戦い始めてどれくらいの時が経ったんだ……)


 この場所は整備されたように整地され、闘技場を連想した。

 俺は黒いドラゴンと対峙してから、長い時間戦い続けているような気がする。


 杉山さんの作ってくれた防具はすべて破壊されて、服がぼろぼろになりフィストガードしか装備が残っていない。

 ドラゴンの巣である富士山の山頂には、【エンシェントドラゴン】という【白い】ドラゴンがいると思っていた。

 しかし、俺が今戦っているドラゴンは黒く禍々しい姿をしており、紫色の雷を体の周囲から放ってくる。


「パリィ!!」


 手に魔力を纏い、自分へ向かってくる紫電を弾く。

 反動で俺の手が焼かれ、瞬時にヒールを行なって黒龍コクリュウへ向かって走り出す。


 黒龍の体すべてが鎧のような鱗で覆われているため、どこを殴っても俺の攻撃がすべて防がれている。

 同じ所を殴り続けても、鱗一枚砕くことができていなかった。


(バーニングフィストも効かない、アースネイルも槍が砕けた、魔法は打ち消される……)


 黒龍の鱗には魔法が効かず、バーニングフィストを始めとして、魔力を込めた攻撃全般が効かない。

 自分にできる攻撃をすべて行なっても、黒龍にダメージを与えられていなかった。


 こんなに苦戦するとは考えてなく、自分の力なら試行錯誤すればなんとかなると思っていた。

 ふと横を見たら、この場所へ入るための入り口が目に入る。


(ここを出れば帰ることができる……)


 撤退して、強くなってから再び挑戦することを考え始めてしまう。

 しかし、俺の心がその考えを止めて、今この敵を倒すことに死力を注ぐ。


(倒すと決めた相手を前にして俺に後退はない!!)


 弱気になっていた自分を奮い立たせて、今の自分が何をしてもダメージを与えられない相手へ向かって走り出す。

 鼓膜が破れるような程大きな咆哮を行い、黒龍のひたいにある角が光り、紫色の雷を纏いながら身を乗り出して牙を向けてきた。


 テレポートで避けるように移動をして、黒龍の攻撃を躱し続けることに集中する。

 紫色の雷を纏った状態では、近づくだけで雷を受けて痺れてしまう。

 この帯電状態はしばらく経てば解除されるため、それまでは満足に攻撃さえできない。


(あの角を折れば雷が出せなくなると思うけど、それができない!)


 防具は黒龍が纏う雷を受けただけで使い物にならなくなってしまった。

 俺も当たりそうな雷をなんとかパリィで弾くものの、2つの拳でさばける量には限界がある。

 雷をかいくぐれたとしても、非常に硬くて魔力で保護されている鱗を傷つけられない。


(俺がこの世界でやってきたことは無駄だったのか!?)


 自分の力が及ばず、自暴自棄になってしまいそうになる。

 余計なことを考えたせいで反応が遅れ、俺の横から黒龍の尾が肉薄してきていた。


(まずい!!)


 テレポートを行おうとしても間に合わず、雷を纏った尾で振り払われる。

 俺の体が焼かれながら吹き飛び、壁に打ち付けられた。


 黒龍は追い打ちをするように、俺へ紫電を放ってくる。

 壁に打ちつけられた俺は満足に動くことができず、目の前を迫る雷を呆然と見てしまう。


(これで死ぬのか……)


 尾の振り払いを受けて体が言うことを聞いてくれない。

 弾いても手が焼かれるほどの威力を持つ雷に直撃したら、俺の体は焼却させるだろう。


 動かない体に力を入れることができないため、せめてもの抵抗として有り余る魔力を使用して、体を覆うように纏わせ始める。


(今までは体に纏わせたらすぐに飛散してしまった)


 魔力を体に維持させ続けるために、体の底から爆発させるように駆け巡らせた。

 飛散してもすぐに次の魔力を放出する。

 体が負担で悲鳴を上げて、軋むような痛みが全身に広がった。


(最後まで抵抗してやる!!)


 眼前まで雷が走ってきており、痛みを堪えている俺に紫電が直撃する。

 えぐられるような激痛が胸へ受けた。

 俺はそのまま地面に倒れてしまい、すべての痛みを体が感じなくなる。


(死ぬ前ってこんな感じだったのかな……)


 2度目の死に直面し、力なくゆっくりとまぶたを閉じた。

 しかし、意識が無くなると思っていた俺の耳にかすかな振動が聞こえてくる。


(……これはなんの音だ?)


 力強く鼓動する音を聞き、まだ自分の意識が失われていなかった。

 次の瞬間、胸が焼けるような痛みを感じ、音の正体が判明する。


(俺の心臓はまだ動いている!)


 自分が死んでいないことがわかると、すぐに目を開けてヒールを行う。

 胸の痛みが引き、自分があの雷を受けても生きていることがわかった。

 その直後、自分の周囲が暗くなり、上を見たら黒龍は俺を踏み潰そうと足を上げている。


 俺は黒龍の後ろに移動するためにテレポートを行う。

 黒龍が俺のいない地面に思い切り足を降ろしていた。


 黒龍が俺を見失っている間に、雷を受ける前の感覚を思い出し、体に魔力を纏わせる。

 俺の体から魔力が放出され続け、体が痛み始めた。


 この状態でスキル鑑定を行い、思わず笑みがこぼれる。

 魔力を全力で放出させたまま、黒龍へ向かって走り始めた。


「黒龍よ!! 第2ラウンド開始といこうか!!」


スキル


体力回復力向上Lv30

(Lv5) ┣[+剣熟練度Lv5]攻撃速度向上Lv30

(Lv10)┗キュアーLv30


剣熟練度Lv30

(Lv3) ┣挑発Lv30━[上級]宣言Lv2

(Lv5) ┣バッシュLv30

(Lv10)┗ブレイクアタックLv30


メイス熟練度Lv30

(Lv3) ┣[+ヒールLv3]身体能力向上Lv30

(Lv10)┗魔力回復力向上Lv30


ヒールLv30

(Lv10)┗移動速度向上Lv30


杖熟練度Lv30

(Lv3) ┣ファイヤーアローLv30

(Lv5) ┣ライトニングボルトLv30

     ┃(Lv10)┗[上級]ライトニングストームLv30

(Lv10)┗テレポートLv30━[上級]ワープホールLv30


短剣熟練度Lv30

(Lv3) ┣鑑定Lv10

(Lv5) ┣スキル鑑定Lv30

(Lv7) ┗急所突きLv30


盾熟練度Lv30

(Lv5) ┣[上級]パリィLv30

(Lv10)┣シールドバッシュLv30

(Lv10)┗[上級]シールドブーメランLv30


拳熟練度Lv30[上級]

(Lv3) ┣アースネイルLv30

(Lv5) ┣[+ファイヤーアローLv5]

     ┃バーニングフィストLv30

(Lv5) ┣旋風脚Lv30

(Lv10)┗錬気Lv1


弓熟練度Lv15

(Lv3) ┣気配察知Lv15

(Lv5) ┣鷹の目Lv15

(Lv10)┗[上級]マルチプルショットLv15


銃熟練度Lv1


[シークレットスキル]

守護神の加護

海王の祝福


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