隆君と藤川先生と離婚条件の確認が終わり、マリと家に帰ろうと思っているとマリのスマホにメッセージが入る。
「あっ!ママからだ!!海も愛梨奈ちゃんもお利口さんだからランチしておいで!!やって〜。やったー!!」
「えぇー!!いいのかな??」リサには、これ以上迷惑をかけるのが申し訳ない気持ちがある。
「いいんだよ!」マリがニッコリ笑う。
「うん。ありがたい!!」せっかくのマリのママとエリちゃんの気づかいを受ける事にした。
昨日は地獄かと思ったけど〜今日は嘘みたいにスッキリしている!!
そして今から、ゆっくりランチまで食べれる。うれしいしかない!!
「ここにする?」マリが指をさす。指の先にはオシャレな和食店がある。
「うん。いいカンジ。愛梨奈がいたら絶対に入れない所!!」
「うん。うん。入ろう!!」
「うん。」
注文が終わって‥‥‥携帯の画面をマリに見せる。
「うー。どうした?」「寮母??」「奈良?」
「うん。むかーし両親がいた頃に住んでた所なんだ。偶然なんだけど‥‥‥。住み込みを、探してたら見つけた。」
「そうなんだー。ちょっと遠いね。今までみたいに会えないね。」マリがシュンとする。
「うん。さみしいし不安だけど、ここにいたら周平と彼女に会う可能性は高いでしょ?」
「うん。でも!!」
「うん。言いたい事はわかるよ。でも、もう偶然でも会いたくない。悔しいけど私が離れるしかないんだよ。」
マリは私をみて頷く。「‥‥。うん。そうだね。めっちゃ遊びに行く。たまにはリサも来てね。会わないようにアイツの行動を把握するから!」
「ふふふ。マリ、アイツになってるよ!」
「アイツで十分だよ。」確かに‥‥‥。
2人で笑う。
「ってか、まだ受かってもないし応募もしてないけどね‥‥‥。」
「応募もまだか〜!」マリが笑う。
「うん。ダメ元で応募はしてみるよ。」
「うん。そうだね!」
その後はデザートまで、食べながら話して笑って時間が経つのがあっという間だった。
デザートが食べ終わりマリが言う。
「美味しかった!隆がよく面倒をみてくれるけど、気になるし〜こんなにゆっくりご飯を食べたのは久々!!」
「ほんとに〜ママとエリちゃんに感謝だね。お土産を買って帰ろう!!あっ!アイツも面倒をよくみてくれてると思ったけど良いところだけなんだよね。機嫌の良い所だけ!隆くんみたいに先に起きてお世話してくれるなんて考えられないな〜。って今朝、思ったよ?」
「よく考えたら大学の時から良いとこ取りみたいなとこあったよね?アイツ」
「ふふふ。そうかも。ずるいんだよアイツ!」
「「アイツサイアク。」」ハハハハハハ2人で声を出して笑った。
たった1日しか経ってないけど、気持ちが落ちついてきた。落ち着いて思ったのは、もう周平とは会いたくない。会わないように引っ越し出来ないかな??隆くんに相談してみよ〜!!
「あっ!!応募の電話して良い?」愛梨奈がいない間にしときたかった。
「もちろん。」
電話で全ての事情を話すと理事長と相談して連絡をくれる事になった。空地理事長だって。そうだよね。3ヶ月の子がいる人を住み込みで雇うのは躊躇するよね。だめかな??不安になる。
バシッ!マリが背中を叩く。
「ダメもとだし〜。また、いいのも出てくるよ。とりあえず連絡をまとう!うちはいつまでもいてくれて良いからね〜。」
「うん。ありがとう。心強い!!」
その日の夕方にスマホがなる。見覚えのある市外局番。奈良大学のだ!緊張気味に出る。
「はい。荒木です。」
「奈良大学の空地です。」
えっ。理事長??
「はい。」
「ふふふ。久しぶり。」
「えっ!」久しぶりって??頭の中に?がたくさん飛ぶ。
「覚えてないかな??リカと親友の空地真央です。」
リカは私のお母さんだけど‥‥‥。ぼんやり小さい時に大きなお家に遊びに行っていた記憶がよみがえる。
「あっ!あっ!白い犬のメメちゃんがいた??」
「そう。そう。思い出してくれたのうれしい。メメちゃんは亡くなってしまったけど‥‥‥リカがお世話してくれてるわ。」優しく笑う真央さんがぼんやりした記憶から浮かびあがる。
「そうですね。お母さん犬が大好きだから。」ちょっと泣きそうになる。
「そうね。かわりに私に、リサちゃんと愛梨奈ちゃんのお手伝いをさせて!」
「いんですか??」
「もちろん。大歓迎よ。寮じゃなくてうちに来て。」
嬉しい言葉をもらう。けど、
「ありがとうございます。でも、私やってみたいんです。挑戦してみたいんです。」
「ふふふ。リカっぽいね。よく似てるね。うん。わかった。でも、ムリしないですぐに頼ってね。約束よ!」
「はい。ありがとうございます。」
「すぐに迎えに行けるよ!今は家?」
「いいえ。家はすぐに出ました。友達の家にお邪魔してます。」
「そっか〜。よかった。あなたに頼れる所があって。安心した。辛かったね。」優しい言葉が胸にくる。
「‥‥はい。‥‥グス‥スン‥‥‥。」
「いつでも、迎えに行くから電話してね。待ってるね。」
「はい。お願いします。」電話を切る。
電話を切ってからも奇跡のような偶然は母が巡らせてくれたのだろうと母を思った。
「マリ〜〜。たいへーん。」
「どうしたん?」
「仕事きまったよ。」
「えぇー。よかったね。面接なしで?う〜ん。あやしくない?住み込みだし‥‥‥‥。」
「大丈夫!!理事長が母の友人だった。私も昔会ってたよ!」ニコニコで答える。
「えぇーすごい。こころ強いね。良かったね。」自分の事のように喜んでくれる。
「うん。迎えに来てくれるって。」
「そっか〜さみしいからもう少しうちにいてね。」マリが急に、シュンっとする。
「うん。もちろん。もう少し、いさせて!!荷物をまとめにいかないと‥‥‥。周平に会わずに出来ないかな?ムリか〜。」
「出来るようしてもらお!そのための隆よ!」エリが自分の胸をトンっと叩いてドヤる。
「フフフ。ありがとう。でもそのためだけじゃないよ!!」っと笑ってツッコむ。