ポンコツ町に幹部『催眠術師ルイザー』出現したという報告と共に、レッドから緊急戦隊ワープの招集がかかった。
「分かった。だが、こちらも立て込んでいて今すぐ向かう事が出来ない。私が来るまで持ち堪えてくれ!」
通信を切ったあと、私は『替え玉頼みます!』と店長に言った。
◇
「仲間が、仲間が窮地に陥っているかもしれないゲップ! 頼む、間に合ってくれ!」
◇ポンコツ町
予め変身した後、緊急戦隊ワープでポンコツ町に降り立った。しかし既に、レッドとグリーンとイエローは地面に倒れていた。
「お前ら、なんでこんな時にアリと戯れてるんだよ!」
「この状況でアリと遊んでる発想を思いつくブルーが怖いよ。みんなやられたんだよ、あの幹部に」
「ピンク、君は無事だったんだな!」
「なんとかって感じだけどね」
「それにしてもまさか、レッドとグリーンとイエローがやられるなんて、計算外だ」
「三人がやられるのも当然よ。奴は相手の身体の感覚を操る、催眠の力を持っているのだから」
「三人はどんなやられ方を?」
「ええ、まずはレッドが戦ったわ」
◇
レッドと催眠術師ルイザーの戦いは、レッドが圧倒していたらしい。
『奥の手、へんしん!』追い詰められたルイザーはへんしん能力でレッドに化けた。それから事態が急変する。
『一騎打ちの最中申し訳ないけど、あたしがとどめを刺すわ! ピンクリボン!』ピンクがレッドに不意打ちを仕掛けた。
ピンクリボンがレッドに直撃。しかし、当たってない方のレッドがルイザーの姿に戻っていく。
本物のレッドは気絶した。
◇
「いやあ、失敗失敗」
「ピンク、君は何してくれてるんだ!? 君の失敗でレッド気絶しちゃってるんだが!」
「二択クイズは結構得意だったのだけど」
「二分の一、攻撃するかの発想、絶対間違ってるからな!」
「まあ運が悪かったわね」
「悪いのは君のギャンブラー精神だよ」
「で、グリーンとイエローはどんなやられ方を?」
「ええ、奴はレッドを倒した後」
「責任転嫁やめろ」
◇
『今度はあたしに化けてきた!』
ルイザーはピンクにへんしん。すると今度はイエローが奴の前に立ったらしい。
『グリーンとピンクは後方支援を頼みます。ルイザー、私が相手です!」
イエローの意図としては憶測になるが、ピンクがルイザーと入れ替わらないようにした、と考えられる。
しかし、ピンク曰く、その時は突然訪れたようだ。
一瞬の攻防の末に、イエローとグリーンは倒されたらしい。
◇
「そんなバカな。イエローとグリーンが一度に倒されたなんて……」
すると先程から空気と化していたルイザーが、困惑しながら語り始める。
「いや、倒したのお宅らのピンクですぞ?」
「なんでだよ。いやおかしいだろ!」
「違う、違うの!」
「まさか、相手の身体の感覚を操る、催眠ってやつを使われたのか?」
私の問いに答えるようにピンクは語り出す。
「ええ、そうね。奴とイエロー、そして後方支援のグリーンを合わせた戦いは互角だったわ」
「ピンク、お前は加勢してなかったのか?」
「この時、私の頭に一つの可能性がよぎったわ『もしかしたら戦いの中でルイザーがイエローに、イエローはグリーンに、グリーンがルイザーにへんしんしているんじゃないか』ってね」
「はっ? 何言ってんだコイツ?」
「でも『ルイザーがグリーンで、グリーンがイエローに、イエローがルイザーのケース』これも十分考えれるわけ」
「本当にさっきから何言ってるんだ君は? 変身能力はルイザーだけだろ」
「まあ、二分の一よね」
「どっちも不正解だわ」
「だけどあたしは学んだの。どっちかが正解なのだから、多少の犠牲を払ってでも、どっちも攻撃すればいいと」
「そのどちらも不正解なんだがな」
「そしてイエローとグリーンを攻撃して、気絶した二人を見て思ったわ。またやっちゃった☆」
「ていうか君、超戦犯じゃないか! な~にが催眠だ! 相手の能力過大評価してるだけじゃないか!」
「お宅ら、ワシを置いといて雑談するんじゃないですぞ!」
私にへんしんしたルイザーが悍ましい圧力をかけながら詰め寄ってくる。
「ああ、そういえば今、ルイザーと戦ってるんだったな。味方が敵すぎて霞んでた」
ルイザーが両手に剣を持ち、突撃してくる。筋力は互角、剣捌きも互角か……
クソッ、私の二刀流もコピーできるのか。だが、私だって負けてはいない!
おそらく泥試合だろうが、絶対に勝ってみせる!
◇
このあと、私もピンクに倒された。