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エピローグ

満員のスタジアムに歓声が木霊こだまする。


人気アイドルグループの再結成に多くの人が魅了され、ここ出海町のみならず日本中を熱気の渦に巻き込んでいる。


黄色の衣装を着た新メンバーの橘 聖たちばな さや

明るい髪と大きな瞳でニッコリ笑う彼女にはすでにファンであるdear.たちも受け入れている。

彼女が加入した新生MellowDearz.の初ライブは終盤を迎えていた。


「みんなー、今日はありがとう」

口火を切ったのはセンターの藍沢 凛陽だった。


拍手が鳴り止むのを待って、リーダーの深乃 梓希が神妙な面持ちで話しはじめる。


「いろいろとお騒がせしてしまってごめんなさい。苦しい時期もあったけど、こうしてまたのみんなに会えて本当に幸せです。聖が加入してくれて私たちは生まれ変わりました」


「一度きりの人生、嫌なこと辛いことたくさんあると思います。そんなときに私たちの曲が少しでもみんなの生きる活力になったら嬉しいです」

オレンジ色の衣装を纏った美波が静かにそう言う。


「次が最後の曲です」

黄緑色の服を着た柊木 柚鈴の言葉に会場からは、えーっという悲しい声が響き渡った。


曲のイントロが流れはじめ、徐々に音量が上がっていくと、それぞれの立ち位置へと移動していく。


それを見た会場からどよめきが上がった。


「最後まで盛り上がろー!」

藍沢 凛陽が額の汗を拭い、紫色のスカートを靡かせ会場に向かって声を出す。


「みんなー、今日もフェリってる?」

美波が笑顔でそう言うと、彼女の言葉に反応した会場から歓声が上がる。藍沢の代わりに言わせてもらったようだ。


「フェリってないわけないよねー?」

満面の笑みでそう言った柊木 柚鈴にさらに歓声が増す。


「私たちの歌で少しでも元気になれるよう精一杯歌うから、みんなも私たちに力をください」

水色の服を着たリーダーの深乃 梓希の言葉でさらに盛り上がる。


「新生MellowDearz.の新曲聴いてください」

新メンバーの橘 聖が言ったあと、5人が声を揃えて曲名を言った。


『dear.』


バラード調の曲が流れる中、5人のセンターに立つオレンジ色の服を着た彼女は世界中の誰よりも笑顔で美しかった。

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