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第18話 虎の魔物

 取引所に行き換金を済ませる


「迅さんは口座に振込ですよね」

「あぁ、それで頼む」

「分かりました。それでは今日のところはこれで解散です。5級だったとは言え休んでくださいね」

「わ、分かりました」

「次の予定は明日以降に決めましょう」

「分かった」


 3人は解散をして雫と千尋は家に向かう


 ……体力は残ってるし4級を少し行くか


 体力の余裕がある迅は昨日、行かなかった4級ダンジョンの方に向かう

 ダンジョンまでは少し遠い


 ……残りが少ない。飲み物買うか


 持ってきている飲み物の残りが少ない

 コンビニに寄り追加の飲み物を買う

 ダンジョンの入口で休憩をする

 身体強化の魔法を掛けて魔物を狩り続ける

 地を蹴り接近して一撃で両断する

 剣を振るい切り裂く

 攻撃を剣で受けて逸らす

 倒した後、魔石を回収する

 それから6階層に降りると中ボス部屋であった

 中ボスは2mある獅子


 ……中ボスは辞めておくか


 5級攻略している日に4級の中ボスと戦うのは厳しい

 踵を返して階段を登る

 少し休憩を挟んだ後に入口に向かう

 湧いていた魔物を一振りで切り裂いた

 攻撃を半身逸らして躱す

 突き刺して切り上げる

 入口に着く


 ……魔石を結構集められたな


 取引所で魔石を換金して家に向かう

 その道中、見覚えのある人物が前方から歩いてくる

 その人物は夢だった

 それも1人では無い、夢以外に3人

 探索者の装備を身につけている夢と同じクランのメンバーだろう


「順調だね」

「あぁ、予定通りに中ボスも倒し終えたからな」

「ボスはいつの予定かなぁ?」

「ボスか。時間掛けてマッピングだからなぁ。早くても1週間後だと思うぞ」

「1週間後かぁ」

「ダンジョン攻略は急ぐ物じゃないからな」


 ……あぁ、そう言えば中ボスに挑んでいたな。倒したのか。1週間、3級ともなると時間をかけるのか


 夢を含むクランパーティが一昨日、3級ダンジョンの中ボスに挑んでいた

 夢も迅に気付く

 迅は外でそれもクランメンバーと一緒に居る時に話したくは無いだろうと考えて軽い会釈で済ませる

 夢もチラッと一瞥するだけですぐに会話に戻る


「あれ、あの人」


 すれ違った迅の姿を見て1人が声を上げる


「知ってるのか?」

「うーん、多分ほぼ毎日魔石集めをしてる探索者とか言われてる人じゃないかな」

「ほぼ毎日? マジかよやべぇな」


 男性がドン引きする

 大手クランのメンバーでもほぼ毎日ダンジョン潜りはドン引きする


「彼は強いのか?」

「噂では4級に単独で挑んでるとか」

「ほう」

「まぁ噂程度だろ」


 家に着いてソファーに座ってのんびりとしていると夢が帰ってくる


「おかえり」

「ただいま、いやぁ疲れたよ」


 そう言って夢は居間のソファーに座る

 迅の隣に座った

 言葉通り疲れた様子でバックから飲み物を取り出して飲んでいる


「ダンジョンに行ったのか?」

「いや? 今日はクランメンバーとの会議だったよ」

「会議?」

「前回の戦闘の振り返りや陣形のチェックなど、クランに所属すると色々とあるんだよ」

「ほう、そうなのか」


 ……そんな物があるのか。俺達もやるべきか?


 迅達は振り返りや陣形のチェックはしていない

 迅が自由に動いて2人がそれを合わせている

 迅から特に何か言える事も無い

 2人は適当な雑談を交わす


 翌日

 迅は朝早くに家を出た

 今日は昨日行けなかった3級ダンジョンに向かっている

 蠍の群れと戦う予定、特訓も兼ねて行う

 3級ダンジョンに着いて階段を下りる

 身体強化の魔法を自分に掛けてすぐに戦えるように準備をする

 蠍の群れが現れて囲まれた

 深呼吸をして集中する

 尾による攻撃を防いで尾を両断

 素早く近付いて関節部を切り裂く

 鋏を切り裂いて胴体を真っ二つにする


 ……もうだいぶ慣れたな


 最後の1体の頭を踏み胴体の関節部を切った

 それから湧いてきた蠍を仕留めて進んでいく

 1階層の魔物(蠍)を倒し終えて2階層へ続く階段を見つけた


 ……2階層か……行ってみるか


 2階層に降りて通路を歩く

 通路の見た目は特に変わらない

 すると目の前に魔物が湧いた

 黒いモヤが集まり形作る


「ここは蠍じゃないのか。複数種類ってのは階層で変わるのか。となると3階層も変わりそうだな」


 人くらいの大きさのある虎だった

 虎の数は1体

 虎が迅を睨み付ける

 ゾクリと迅に悪寒が走った


 ……強いな


 この虎は蠍よりも強い、そう本能で理解する

 スッと剣を構える

 虎の様子を窺う

 互いに動かず睨み合いが続く


 ……動かないか。ならこちらから


 突っ込む為に地を踏み締め剣の構えを変えた

 直後、虎が飛びかかってきた

 咄嗟に剣を盾にして前足の攻撃を防ぐ

 構えが変わる瞬間を狙ってきた

 様子を窺っている時は相手の動きに合わせられる構え

 その構えを防御よりも攻撃寄りの構えに変えた

 その瞬間を狙われた

 膂力を高めて軽く弾いて踏み込んで切りかかる

 後ろに飛び退かれて避けられる


 ……こいつ


 今までに無い魔物の動き

 人の動きを知っている魔物

 脚力を強化して突っ込む

 前足の攻撃を躱して切りかかる

 避けられたら更に踏み込んで攻撃を仕掛ける

 素早く剣を振るい傷を付けた

 傷を負っても怯まず前足で攻撃を仕掛けてきた

 剣を挟み込んでギリギリで受け止める


「ちっ」


 受けた体勢が悪く押される

 押し合うがすぐに押し切られると感じた迅はタイミングを図り後ろに飛び退いて避けた

 追撃を食らわないように素早く剣を構え直して防御の構えを取る

 防御の構えを取ると虎は攻め込んでこない

 少しの攻防で迅は理解する


 ……強さが蠍の比じゃない。治癒の指輪は今持ってない


 あの蠍の群れと比べてこの虎は強過ぎる

 治癒の指輪は雫に渡したままで今は持っていない

 蠍の群れは倒していた、だから他の魔物が出てきてもそれ程強さは変わらないと思っていた

 だが違かった

 この虎は下の等級の中ボスやボス相当

 迅と虎は向かい合う

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