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初恋の双子の弟と再会、ドSな彼と恋に!?
初恋の双子の弟と再会、ドSな彼と恋に!?
心優(mihiro)
恋愛現代恋愛
2025年04月08日
公開日
9,895字
連載中
主人公の高橋花怜は、高校1年生の頃、2学年上のサッカー部のキャプテン岡本優輝先輩に憧れていた。 勉強もスポーツも出来て、尚且つイケメンで優しい先輩は、完璧な人だった。 でも、その先輩には同じ歳の素敵な彼女さんが居て、花怜の恋は、ただの憧れで告白も出来ないまま片思いで終わってしまった。 その後、大学生になり、どうしても優輝先輩の面影を重ねて彼選びをしてしまっていた花怜。 何度かお付き合いをしたが所詮先輩とは違う。なので、長続きはしなかった。 そして、花怜は大学を卒業し、人材派遣会社 初愛に就職した。 なんと、同じ部署に、優輝先輩に似ている! と思うイケメンが居た。 が実は、それは双子の弟ドS優星先輩だと分かった。 家庭の事情で岡本から桐生に苗字が変わっていたので、すぐには気づかなかった。 2人は、一卵性双生児のため、そっくりでじっくり見ないと見分けが付かない。 ましてや、会ったのは高校生以来、苗字も変わっているし、下の名前だけでは分からなかった。 高校生の頃は、私に意地悪ばかり言うドSな弟だった。 なのに、同じ会社の同じ部署になり、優星先輩も社会人になって成長したからなのか、割と優しくなっていた。 指導係の山岸さんに頼まれて、仕方なく1日営業の勉強の為、優星先輩と一緒に外回りに出た時、 一緒にご飯を食べて、優しくなっていた優星先輩のことにも驚いたが、超絶方向音痴の花怜が優星先輩とぶつかった時、ぎゅっと抱きしめられ、なぜかキュンとしている自分に気付いた花怜。 実は優星は、高校の頃から花怜のことが好きだった。しかし、花怜は、いつも兄の優輝のことばかり追いかけていたのを知っていた。なので告げることも出来なかった。 まさか同じ会社に就職して来るなどと思いもせず、驚いたが嬉しかった優星。 そして、ある出来事がきっかけで優星は、ついに花怜に告白をする。 優しくされたことにより、花怜もしだいに優星に惹かれて行く……この2人の恋の行方は……

第1話 まさかの再会?


──え? 優輝ゆうき先輩?



私は、思わずその男性を凝視した。


しかし、その人は、私を『花怜かれんちゃん!』とは呼んでくれない。



──あっ、違うんだ……



高校の時に、ずっと憧れていた優輝先輩に、そっくりなのに……





 桜が咲き風が心地よい季節になってきた。


まだ、少し肌寒い日もあるが、今日は、よく晴れてポカポカしている。



 徒歩5分、家から最寄り駅へと向かう。


途中、母校の高校の前を通ると、正門前に、


〈入学式〉という看板が準備されていた。




──うわ〜懐かしい〜!


後輩たちよ、入学おめでとう!




私は学生より一足早く、先週から社会人1年目の研修が始まった。




そして今日、4月1日は、入社式。


それに、辞令を貰う日だ。


どの部署になるのか内心とてもドキドキしているがそれと同時に楽しみでもある。




電車に揺られること35分、会社の最寄り駅から徒歩8分ほどのところにある人材派遣会社 初愛はつあいへと向かう。




会社に到着し、研修期間中と同じ会議室に集められた新入社員は、男女合わせて15名。


研修中に仲良くなった杏奈あんなちゃんに手を振り、


「おはよう」と挨拶する。


「おはよう〜なんか緊張するね」

「うん、緊張する〜! どこに配属されるんだろうね」



今日は、そこから1番広いホールのような会場へ移動した。


社長よりお祝いの言葉があり、1人1人辞令をいただいた。


私は……営業部の事務職として配属された。

同じ営業部に男性2名、吉田と小野田も配属、杏奈ちゃんは、業務部の事務職となった。



人事部の人に案内され営業部まで行き、部長を紹介されたのでご挨拶した。


私の両親と同じ50代ぐらいの男性だ。


その後、部長から営業部の方々に、


「今年の新入社員は、3名です」と紹介され、


吉田、小野田に続いて私も名前を言って挨拶した。


パチパチと拍手で迎えられた。




そして、私の指導係、山岸やまぎしさんを紹介された。


山岸さんは、5歳年上のお姉様。


ショートカットが良く似合うサッパリした感じの方だと思った。




高橋花怜たかはしかれんです! よろしくお願いします」


「はい! 山岸志保やまぎししほです。こちらこそよろしく! 花怜ちゃんで良いかな?」


「あ、はい!」

「いくつ?」

「22歳です」

「若いね〜羨ましい〜」と言う笑顔がとても爽やかだ。



そして、私は辺りを見渡した。


が、さすが営業部。すでに外回りに出られている方が多いのか、今事務所にいらっしゃるのは、女性か管理職のオジ様だけのようだ。


一瞬、若い男性が居ないのかと思って凹んだが、そんなはずはない!


夕方まで山岸さんに仕事を教えてもらいながら、新しいことをたくさん吸収していった。




夕方になると営業部の男性陣が次々に帰社された。


その度に、山岸さんが、


「あ、今日から新人ちゃん」とおっしゃるので、


「高橋花怜です! よろしくお願いします」と、ご挨拶した。




そして……


また同じようにご挨拶しようと思った時、超絶イケメンが帰って来た!



──何何! こんなイケメンが居たの? うわ〜最強じゃん!


思わず口角が上がってしまった。




すると又、山岸さんが


「あ、桐生きりゅう! 新人ちゃん!」とおっしゃった。



──桐生さんとおっしゃるのですか?


こちらを向かれたので目が合った。



──え? 優輝先輩?



私は、思わずその男性を凝視した。


しかし、その人は、私を『花怜ちゃん!』とは呼んでくれない。



──あっ、違うんだ……




高校の時に、ずっと憧れていた優輝先輩に、そっくりなのに……



なので、私は、慌てて、


「あっ、高橋花怜です! よろしくお願いします」とご挨拶した。



すると、


「高橋カレー?」と言った。



──え? 



「グッ」とその人は、1人で笑っている。




山岸さんが、「あ、無視していいからね」と私におっしゃったが、


花怜かれんです」と私が言い直すと、


「あ、かれんね。キミ……」と言いかけて、


「いや、何でもない」と言った。




──何よ! 気になるじゃない!




その人は、山岸さんの向かいの席に座った。


つまり私の左斜め前だから、良く見えるのだ。


──ヤダな〜




そう思いながら……ふと思い出した!


え? もしや、この言い方! まさか優輝先輩の双子の弟? ドSの優星? と思ったのだ。




でも今、確か岡本ではなく桐生とおっしゃった。


どういうことだろう。



気になったので、一応聞いてみた。



「あの〜」


「ん!?」


「もしかして、桐生さんて、双子のお兄さんがいらっしゃいますか?」と聞くと、


「ああ、居るけど?」と言われた。



──やっぱりそうだ!



私は思わず、


「優輝先輩の弟さんですか?」と聞いてしまった。


「優輝先輩の弟ね〜」と不機嫌そうに言った。


「あ、すみません。優星先輩ですか?」と


聞き直した。




「あっ、やっぱお前あのカレーか?」と言われた。


はい! と言うのもしゃくだし、


「……早明そうめい高校の2つ後輩です!」と言うと、


「なるほどね〜優輝のストーカー!」と言われた。


「スト……追っかけです!」


「ふ〜ん、どっちでもいいけど、俺は優星な! 間違えんなよ!」と言われた。


「はい! 間違いません」と言った。



──あ〜嫌なことを思い出した……

高校生の頃、余りにもそっくりなので、間違えたことがあるのだ。


そもそも、ココには優輝先輩は、居ないのだから間違えるわけがない!



それを聞いていた山岸さんが、


「へえ〜あなたたち高校の先輩と後輩なんだ」と驚かれていた。



「……はい」と言うと、


「あっ、なら桐生! 営業の勉強は頼むわ。花怜ちゃんに教えてあげて!」と言った。



「「え!」」



『結構です!』と断りたかったのだが、当然新入社員の私からは、さすがにそんなことは言えない。


すると、


「ゲッ! お前絶対俺の邪魔すんなよ!」と言った。



──うわ〜感じ悪いところ全然変わってない!


と言うことは、え〜〜〜〜! やっぱり一緒に行かなきゃ行けないの? ヤダ断ってよ〜



「は、い……」


当然、断ることなど許されなかった。



その思いも虚しく、営業のことは、このドS弟、優星先輩に教わることになってしまった。



──あ〜〜最悪〜〜! 地獄の日々決定だ




「とりあえず今日は、事務的なことを覚えて貰ったから、明日は営業のこと、よろしく!」と、優星先輩に言う山岸さん。



「お、おお」と言う優星先輩。


「おお、じゃなくて、はい! でしょう!」と山岸さんに言われている。


「は〜い!」



──そっか、ドS弟の方だったか……おかしいと思ったのよね〜優輝先輩なら笑顔で接してくださるのに……



2人は、一卵性双生児のため、本当にそっくりでじっくり見ないと見分けが付かない。


ましてや、高校以来だもの、なぜか苗字が変わっているし……名前を言われなきゃ全く気づかなかった。



高校の時も、私はドS優星に、いきなり


「カレー!」と呼ばれた。


「え?」



花怜=カレーだと言う。


それで気づいた!


──あ〜弟の方だ……ハア〜最悪だ……



憧れのお兄さん、優輝先輩ばかり追っかけていた高校1年生の頃。


間違えて、ドS優星に怒られた。



「は? 俺は、優輝じゃね〜し……」


その時、


「お前、って言うんだってな。でも、その漢字どう見てもカレーじゃね? ハハッ」と笑われたことがあった。



──小学生かよ! と思った。でも、どうして私の名前の漢字なんて知ってるのよ!


とも思ったが、あまり関わりたくなかったので聞きもしなかった。



それからは2度と間違えないように、と、まず顔のホクロの位置を確認するようにした。



左目の下にホクロがあるのが優輝先輩、ドS優星には右目の下にあるのだ。あの時、一瞬左右を間違えてしまった。


なので、それからは、気をつけて見るようになった。


すると、今度はあまりにも私がジーッと見るものだから、また怒られた。



「なんなんだよ! 人の顔、ジッと見て!」


──あ〜弟だ! 最悪……



お兄さんの優輝先輩なら、


すぐに気づいてくれて、


「花怜ちゃん!」と優しく呼んでくれるもの。


「いえ、別に……」


と、そそくさとドS優星の前から退散した。


そんな日々だった。




また、明日から地獄の日々が始まる。


そう思っていたのだが……





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