「あのー、せんえつなのですが、ご説明をしてもよろしいですか」
パソコンを操作していたメガネの女性が申し訳なさそうに言いました。
「はい、もちろんです」
僕は、不安そうな女性をなごませようと、可愛く見えるように笑顔で言いました。
僕の笑顔を見ると、女性も笑顔になりました。
少し頬が赤くなっています。
「王国軍第二旅団は、8つの大隊に分けて隣接する道路を連携しながら北上してきます。大隊の編成は、歩兵が500人、弓隊が500人、隊長とその近習が騎馬という編成です。その後方に補給隊が続きます。いま、地図の道路の色を赤く変えましたが、赤くしたところが王国軍の進軍してきたルートです」
「すごいですね。なぜ、そこまでわかるのですか?」
「うふふ、これだけ動画が上がっていれば、誰でも正確に状況が把握できますわ」
「ぉーっと! 恐ろしく美しい巨乳メガネの美人だーー!! 笑顔も美しい!! 一体誰なんでしょうかー??」
マーシーさんが小さな声で言いました。
「ふふふ、マーシー君、この子はわしの孫の志信じゃ!! 秘書をしてもらっておる」
「ぉーっと、シノブという名前です。名前までうつくしーぃ!!」
「と言う事はノブコのお姉さんですか」
「はい、神様。いつも妹がお世話になっています」
「シノブさん! か、神様はやめてください。恐れおおいです」
僕はあせって否定しました。
本当に僕は神様ではありませんからね。
「うふっ、では、マモリ様。私も妹同様かわいがってください。よろしく御願いいたします」
「えっ!」
僕はかわいがると言う言葉に動揺してしまった。
「お姉様!!」
ノブコが頬をふくらませて口をとがらせて言いました。
「おお、こわい、こわい。では、続けます。これが、想定される王国軍の進軍ルートです。恐らく幸魂市へはこの国道を使用してくると思います」
モニター画面に青く塗られた道路が出て来て、赤い進軍ルートに接続しました。
「とても、わかりやすいですね」
「ありがとうございます」
「ノブコ、こちらの戦力は理解していますか?」
姉に対抗心をむき出しにしているノブコに、献策してもらおうと話を振ってみました。
「はい、お姉様もお爺さまも聞いて下さい。ご説明いたします。マモリ様間違いがあれば、その都度ご指摘をお願いします。まずは、この中で最強戦士、コングさんです」
ノブコはコングを手のひらで示しました。
一番大きな体のコングが頭を下げました。
さすがは、ノブコです。的確です。
コングは剛力解放という力があり、剛力を解放させれば魔王軍の大将軍クラスの力があります。
弱点は魔法耐性が低いことと、魔法が使えないことです。
さらに、暗黒魔装という、僕の暗黒魔法を体にまとい、さらに体を強化できます。
僕自身、暗黒魔法は初心者なので、暗黒コングの実力は測り切れていません。
「続いて、ダニーさんとズラーさん、そしてデェスちゃんです。3人は兄妹で、コングさんと同じ位の強さです」
マッチョなダニーとズラー、美人のデェスが頭をさげました。
3人の実力は、ダニー、ズラー、デェスの順です。
剛力解放前のコングより少し強い程度の実力です。
魔法が使える分、魔法耐性もコングより上です。
ノブコは合っていますか、と、いう顔で僕を見てきます。
僕は笑顔でうなずきました。
「安土山で留守番をしている、アカ、アオ、キイ、ミド、モモの5人はズラーさん達と同族で同じ位の強さです。ユウキさんのおばあさんと、地球防衛義勇軍の本部を護衛するため残っています」
地球防衛義勇軍の本部は、夏祭り会場の奥に旧仲家と十田家とガンネスファミリーとファルコンファミリーによって作られた極秘の基地です。
既に、旧仲家の家族と十田家の家族が引っ越しを終わらせています。
5人の強さは、正確にはデェスよりも明確に下です。
「こちらは、とても美しい女性ですが、その実力は恐ろしいリリイさんとミミイさんです。どちらも弓の名手で、リリイさんはとても強大な魔力の持ち主です。ミミイさんは、変身魔法が得意ですが少しエッチなのが困ったところです」
銀髪ですがやや紫の入った長い髪の美形、リリイさんがゆっくり頭を下げて、しばらく頭をあげません。
銀髪でややピンクの入ったツインテのロリ美少女のミミイさんは、悪い笑顔で頭を下げてすぐに上げました。
その後、しばらくしてリリイさんが頭をゆっくり上げます。
「お待ちかね、超絶美少女のユウキとエイリと私がキュートルスリーです。戦闘モードで変身すると、デェスちゃんと同じ位の実力になります」
「ちょ、超絶美少女ではありませんよーー! ふつうです!」
ユウキは少しだけ文句を言って頭を下げました。
エイリも、ユウキの隣で神妙な顔でお辞儀をします。
「ここから、ここまでがガンネスファミリーの幹部の方です。横に渡世人の島津ヒサシさんとマーシーさんがいます。そして向かい側がファルコンファミリーの幹部の方です」
ガンネスファミリーの中にアスランとカブラン、クートの姿もあります。
さすがに修羅場をくぐって来た方達だけに、恐い顔をした人ばかりです。
ノブコはなおも続けます。
「ガンネスファミリーとファルコンファミリーにはマモリ様の金玉が一つずつ渡してあります。この金玉にはチンコ玉2000個にマモリ様のパワーを与える力とマモリ様を呼び出す力があります。チンコ玉を持っていると、キュートルスリーより少し弱いくらいのスーパーパワーを使用できるようになります」
――ノ、ノブコさーーん! 言い方、言い方ーー!!
こんなに美人の女子高生が金玉なんて言ってはいけませーーん。
「どうでしょうか? マモリ様、合っていますか?」
「すごいですね。完璧です。では、続けて戦略を教えて下さい」
「えっ!?」
ノブコが驚いた顔をします。
「考えているのでしょ。それを教えて下さい。うふふ、僕はノブコを信頼しています」
「は、はい!!」
ノブコはうれしそうな顔になり、メガネをクイッと上げました。
お姉さんのシノブさんまで、同じタイミングでメガネをクイッと上げました。
「まずは、部隊を3つ編成します。隊長はダニーさんとズラーさん、そして主力の隊長にコングさん、ここにはデェスさんにも入ってもらいます。コングさんを1番隊、ダニーさんを2番隊、ズラーさんを3番隊とします。ガンネスファミリーは、2番隊、ファルコンファミリーは3番隊とし、それぞれから500人を1番隊へ出してもらいます。3つの隊はそれぞれ幸魂市を囲む川に架かる橋の手前に待機してもらいます。3つの隊が待機する橋以外はマモリ様に落としてもらいます」
ここで、シノブさんがモニターの地図を更新しました。
橋に色をつけてくれたのです。
落とす橋を赤色にして、残す橋を緑色にしてくれました。
「橋はこれでいいかしら?」
シノブさんが言うと、ノブコはモニターを見つめてゆっくりうなずきました。