ほどほどにして『オーバーザレインボー』と別れた。
あまり長時間一緒だと多人数殺しが出るからね。
一説によると十分ぐらいらしい。
うちは峰屋みのりが居るのでアイドル殺しを派遣されてしまうかもしれない。
……。
ミノタウロスクラスなら、鏡子ねえさんが居るし、『暁』はあるし、最悪かーちゃんも居るからなんとかなりそうだが。
【スロウバラード】はレジストされそうだよなあ。
ある程度ステータスが無いと怖いな。
道をたどりながら狩りをする。
ここらへんだとゴブリンが三匹になるので、泥舟と峰屋みのりだけでは危ない。
鏡子ねえさんか俺がカバーに入る事が多くなる。
でもまあ、特にピンチは無く、狩りは順調に続き、泥舟が4レベルとなった。
「は、早いわね、泥舟くんっ」
「センチネルの経験値を取らないからだ」
「いやなんだもんっ、タカシくんの意地悪っ!!」
「まあまあ」
泥舟も4レベルになって動きに切れがでてきたな。
六階の階段洞窟に入ってちょっと休憩である。
階段際は上も下も安全地帯だ。
『オーバーザレインボー』が近くで狩りをしているのも、ここを休憩点に使うためだろう。
だが、六階の入り口でもあるのでアウトローが出てくる危険性はあるね。
アウトローどもは朝に出勤してきて、夜には帰る。
権田権八のようなヤバイ奴だけは小部屋を占拠して住んでいるようだ。
魔物がポップしない部屋を選んで家財道具を運んで住んでいる。
最近はDIMAZONの配達があるので前よりは快適だろう。
ちょとベンチのようになっている岩に座って行動食を食べる。
壁から湧き水が出ている所もある。
「はい、鏡子おねえちゃん、スニッカーズあげる」
「ありがとう、あまあまだな」
泥舟はカリカリ梅を囓っているな。
なぜカロリーにならない物を持ってくるかな。
俺は駅で買ったナッツバーを鞄から出した。
「泥舟、はい」
「ん? なんで」
「カロリー取らないとバテる。一番動いているのは泥舟だし」
「ありがとう、貰うよ」
ナッツバーを泥舟に渡し、自分の分も開けて囓った。
「行動食って、カロリー無いとだめかい?」
「オヤツじゃなくて、体に燃料いれる為だからな、ナッツバーとかチョコバーがいいぞ」
「わかった、ありがとうタカシ」
ああ、遠足のおやつ感覚だったか。
どっちかというと、弁当を小分けに食べる方が近い感じだ。
行動食を食べ終わったので水筒の水を捨て、湧き水を汲む。
後ろに峰屋みのりが立ったので、水筒を受け取り水を詰めてやった。
「ありがとう、タカシくんっ」
「きにすんな」
泥舟が立ち上がった。
「そろそろ行こうか」
「ねえさん、水筒は?」
「まだ買ってない、必要か?」
「一応あった方がいいな、長丁場だと喉の渇きが酷くなるから」
「あ、そうか、水場の多い五階と違う階もあるのか」
「そうそう」
階層に水場が無いところもあるし、買っておいた方がいいな。
鏡子ねえさんはDスマホを取りだし、DIMAZONサイトで水筒をポチった。
「すぐ来るのかな」
「どうかな、一時間ぐらい掛かるんじゃないかな」
「そうかー」
鏡子ねえさんはがっかりした顔をした。
休憩を終えて、狩りに戻る。
泥舟のレベルが上がって素早さが上がったのか、三段突きとかで複数のゴブリンもさばけるようになった。
峰屋みのりは【罵声】を使ったり、【スロウバラード】を歌ったりしていた。
どうも【罵声】の抵抗は知性ベースのようだ。
小動物系には良く掛かる、だが、ゴブリンやオークだとたまに外れる時がある。
外れて
今の所、【スロウバラード】の抵抗に成功した敵はいない。
「呪歌は魔法と違って、抵抗されると無効なのが痛いか」
「それでも掛かるとでかいですからね」
オークから『マジックポーション』が出た。
「わあ、青い薬、なにこれなにこれ」
「マジックポーションだな、飲むとMPが回復する。峰屋が持ってろ、今はどんな感じだ?」
峰屋みのりはスマホを出してステータスアプリを開いた。
「今、半分強ってところかな、MP」
「とりあえず、飲んでおけ」
「らじゃっ」
峰屋みのりは瓶の栓を開け、ゴクゴクとマジックポーションを飲んだ。
「わあ、パインジュースの味がする。うおっ、全快したよっ」
ちょっともったい無かったか。
3分の1ぐらいが丁度良いかな。
今の所MPを消費するのは峰屋だけだから、マジックポーションが出たら彼女行きだな。
そんなこんなで、色々な物を出しつつ、泥舟と峰屋みのりがLv5に達した。
鏡子ねえさんのリュックが食料品や装備でパンパンになっている。
マジックポーションが二本、ポーションが三本、キュアポーションが一本出た。
装備品は、初心者装備が多いな。
あと、
聖典は出なかった。
あと、使い捨て
これは前にりっちょんが使ったやつで、一回だけ魔法攻撃が使える使い捨ての巻物だ。
頭がおかしいぐらいに大漁だ。
このドロップ率はやっぱり異常だな。
「いぇ~~い」
「一度神殿に行こうか」
俺は空を見上げた、そろそろ暗くなってきたな。
「今日は上がるか」
「はいですっ」
「帰るか」
「ああ、楽しかった」
俺たちは帰路についた。
途中、しましまの制服を着たガーゴイルが寄ってきた。
『タクハイビン、デース』
「おお、きたかきたか」
ガーゴイルはどすんと着地すると、鏡子ねえさんに段ボールを渡した。
「サインとかは?」
帽子をかぶったガーゴイルは首を横に振った。
『シツレイシマス』
そう一言いうと、彼は夕焼け空に飛んでいった。
なんだか、便利だな。