朝、激痛で目覚めた。
昨日のシャトルランで無理をしたせいか。
いや、普段から運動してないからか、筋肉痛だ。
それも今まで史上の筋肉痛。
学校に行かないと。
痛みをこらえながら、やっとの思いで学校についた。
階段だ。足をあげるのにも一苦労。
「あ、平岡っち、おっはよー!なにしてるの?」
「あぁ、入野さん、おはよう。いや、その、筋肉痛で・・・。」
「あー、昨日のあれでか、大丈夫?肩貸そうか?」
「い、いや、それは恥ずかしいからいい。さすがに。」
「そっか!じゃ、教室で待ってるねー!」
「そんな簡単に上っていくなんて・・・。いたたたたっ。」
やっとの思いで教室についた。
「おっ、やっと来たなー!大丈夫そ?」
「これが大丈夫に見える?」
「大丈夫でしょ!男の子だし!」
「えぇー??なんじゃそりゃ。」
「あとで保健室行こ。シップ、貼ってもらおうよ。」
「あー、うん。よろしくー。」
お昼休みに保健室に行くことに。
「しっつれいしまーす!あれー、先生いない?」
「いないみたいだね。」
「そんじゃー、シップさっがそー!」
「そこらへん座っといてー。」
「僕も探すよ。自分のことだし。」
「いいよ。体痛いでしょー!」
「大丈夫だよ。これくらい。いててて・・・。」
「ほらー、痛いんじゃーん。座っててー。」
あ、やばい、足つりそう、足が絡まって。
「あ、あーーー!!」
「平岡っち!!」
転んでしまった。
「いててて。あれ、頭いたくない? い、入野さん!?」
とっさにだろう。入野さんが頭を支えてくれた。
それにしても。近い。顔が。やばい。鼓動が伝わる。その前に。なんとかしなくちゃ。
こんな間近で・・・入野さんの顔、きれいだ。
鼓動がだんだん早くなる。入野さんに伝わってしまう。
お互い見つめ合っていた。
数秒か数分か、わからないが。
その時間は、とても、とても長く感じた。
あのクリスマス以来、久々に目があった。
その吸い込まれそうなきれいな瞳。
「あ、あの、入野さん?ごめん。ありがと。頭かばってくれて。」
「あ、うん。あたしこそ。ごめん。」
「入野さん、手大丈夫?」
「うん、平気だよ。」
「ほんとに?ちゃんと見せて。」
「痛いとこない?ごめん、僕のせいで。」
「大丈夫だよ!気にしない~気にしない!」
「あ、シップあった!貼ろうか!」
「うん。」
その後、少し気まずい雰囲気が続いた。
僕の頭の中は、あの瞬間の映像を繰り返し、繰り返し流れていた。