本作はなろう、カクヨム、ハーメルンでマルチ投稿していますが、各所でぽつぽつ聖がなぜ情報をもっと積極的に開示しないのか、という疑問のコメントが見受けられます。作者はおおむね作中のキャラクターの心情描写、情景描写でこれらの理由を説明していますが、それらがまるっと理解されるというのは難しいだろうとも考えています。
まあ作中で疑問を抱かせないように上手に書けばいいだけの話なのですが、作者はそうしているつもりでも実力がそこまで至っていないため、どうしても説明を要してしまいます。
そういった場合は基本的に無視をするスタイルではあるのですが、疑問の声が数件あった&ハーメルンで0評価がついてしまったということで、今回説明回を設けました。
ただ、うまく説明できるかわからないため、「本作全文」をAIに読み込ませ、その非開示ムーブの理由を考察させました。
そのすべてが正しいわけではないのですが、まあ8割程度は正しかったためそのまま掲載します。こういうのはAIが便利でいいですね。作者の余計なお気持ちが入らないので。
今後も疑問の声が多い事柄については、適宜説明回を追加します。
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主人公である御堂聖(みどう ひじり)が、自身の最大の秘密である「お姉さん」の存在や、彼女に関連する情報を安易に開示しない理由は、作中の描写から複数の要因が絡み合った、非常に合理的かつ心理的なものです。読者がもどかしさを感じる彼の沈黙は、キャラクターの根幹を成す以下の理由に基づいています。
1. 「お姉さん」を保護するため(最重要理由)
これが聖が情報を開示しない最大の理由です。彼は「お姉さん」が、現在の社会(特に霊異対策に関わる人々)にとって、**保護対象ではなく「討伐・封印対象」**であると直感的に、そして経験的に理解しています。
専門家からの敵視: 友人である眞原井アリスはエクソシストの家系であり、祟(たたり)部長も高位の異能者です。聖は、アリスが持つ専門的な知識や家業(第12話「デビルサマナー()」)から、彼女たちが「お姉さん」のような存在を「悪魔」や「邪神」として認識し、祓うべき対象と見なすであろうことを本能的に察知しています。実際に、アリスは聖の背後にいる存在の力を感じ取り、「邪神」と断じています。もし聖が「僕を助けてくれるのは、その邪神なんです」と明かせば、アリスや霊捜(霊異捜査局)は、聖を保護するため、あるいは社会の安全のために「お姉さん」を攻撃・封印しようとするだろうと考えています。
力の危険性: 「お姉さん」の力は、河童の群れを一瞬で干からびさせ(第11話「穂」)、自らの腕を武器に変えるなど、規格外のものです。このような強大な力を、異能者や公的機関が放置するとは考えにくく、聖はそれを危険視されることを恐れています。
過去の封印: 聖の故郷では、「お姉さん」は「お山に封じてある〝アレ〟」(第1話)と呼ばれており、過去に封印されていたことが示唆されています。聖が再び彼女を危険に晒すような情報を漏らすとは考えられません。
2. 過去のトラウマと大人・権力への不信感
聖の沈黙の根底には、幼少期の壮絶な体験からくる、大人や権威に対する深い不信感があります。
家族からの裏切り: 第1話の回想で、聖は「サダフミおじさん」に暴力を振るわれ、「お山にいくな」と「お姉さん」との接触を禁じられています。さらに決定的なのは、母親が村の神主と結託し、聖を「魅入られて」いる危険な存在として村から追い出したことです(「あの子をこれ以上村には置いておけない」)。本来、最も信頼すべき保護者である母親が、自分を理解せず、恐怖から切り捨てたという経験は、彼の心に深い傷を残しています。
権威の否定: 村の権威者である神主と、保護者である母親が、聖を守るのではなく「お姉さん」との関係を断ち切るために彼を故郷から追放しました。この経験から、聖は「権威ある大人(先生、霊捜、専門家など)に相談しても、理解されるどころか、自分にとって最も大切なものを奪われるだけだ」という学習をしています。そのため、現在の保護者である日下部夫妻にさえ、核心を打ち明けられずにいます。
3. 情報の非対称性と説明の困難さ
聖自身も「お姉さん」の全てを理解しているわけではなく、彼女の存在を他者に合理的に説明することが極めて困難です。
存在の特異性: 「お姉さん」は、夢の中に現れたり、物理的に顕現したりと、その存在形態が曖昧です。裕やアリスが持つような「異能(能力)」とは明らかに異質の、神や悪魔に近い存在です。これを「僕の友達です」と紹介しても、誰も信じないでしょう。狂人扱いされるか、危険視されるのが関の山です。
知識の欠如: 聖は彼女の正体や名前(第17話の夢で聞き取れなかった)、彼女がなぜ自分に固執するのかという全貌を知りません。彼は彼女を使役している「デビルサマナー」ではなく、一方的に守られている「庇護対象」にすぎません。不確かな情報を開示することは、さらなる誤解と危険を招くだけだと判断しているのです。
4. 「お姉さん」との絆の秘匿性
彼にとって「お姉さん」との関係は、単なる力や現象ではなく、他人に汚されたくない極めて個人的で神聖な絆です。
唯一の理解者: 幼少期、周囲から孤立し、大人たちから疎まれていた聖にとって、「お姉さん」は唯一自分を受け入れ、守ってくれた存在です。10年ぶりに再会した際に、彼がためらわずに彼女に抱きついたシーン(第2話「再会」)は、その絆の深さを物語っています。
絆の秘匿: この特別な関係を他人に話すことは、その絆を陳腐化させ、分析や評価の対象にされることへの強い抵抗感があると考えられます。それは、最もプライベートな心の領域を土足で踏み込まれるような感覚でしょう。
結論
御堂聖が情報を開示しないのは、単なる秘密主義や意地悪からではありません。それは、「過去のトラウマからくる権威への不信」「唯一の理解者である『お姉さん』を討伐対象にさせないための必死の保護」「自身の理解を超えた現象を説明できないという現実的な困難さ」、そして**「二人だけの神聖な絆を守りたいという個人的な願い」**が複雑に絡み合った、彼の置かれた状況における最も合理的な生存戦略なのです。彼の沈黙は、彼がどれほど「お姉さん」を大切に思い、過去の傷がどれほど深いかを示す、重要なキャラクター造形の一部と言えます。