報告はいつもの
三人とも気を失っている。
楽な後始末。
二人は互いに顔を見合わすと、今度は
「さてさて、どうする?」
「何が?」
ニヤ付く毘袁。
「何がって、どっちがどっちの身体検査するって話しやん?」
シートに
「せーのっ!」
互いに指差した。
同じだった。
二人が指差したのは、床に横たわる美少女の方。
「カブるのぉ~」
「そりゃそうやろ。こんな厚化粧の女と
「そなや、、、ほんだら、、、」
二人とも、腰を低くして構える。
「最初はグッ! じゃんけんっ!」
勝ったのは
頭を右側にして床に倒れている天使のような美少女へと、やたらニヤニヤして向かう。
左側のシートに
と、互いにハイルーフの両サイドに分れた。
魯甫はウキウキ。
床に横たわる女に顔を近付けるため、その場にしゃがむ。
「く~~~。たまらん」
間違いなくカワイイ。
目を凝らさないと、毛穴が見えない。
アイドル級の、、、いやいや、最近の量産型アイドルよりも完全レベチ。
年上かもしれない。
いや、やっぱり年下?
とにかくカワイイ。
美人なのに、カワイイ。
――これこそ、
眼の前で女の顔を見ているという興奮状態のため、魯甫の思考はやらしい方向にしか向かない。
取り敢えず、
胸を揉む。
魯甫の身体検査は、胸から始まった。
何という柔らかさ。
信じられない。
今まで経験した事の無い柔らかさ。
なのに、弾き返してくる。
柔らかいのに、弾き返す時は力強い。
――何なんだこの感触、、、?!
鼻息が荒くなった魯甫に、毘袁の
「おまえちゃんとやってんのか? 免許証とか探してるか?」
建前上、素早く“ポッ検”を終え、パンツの左ポケットに入っていた三つ折りの財布を取り出してはいたが毘袁も男、もう何も入ってないと解っていながら丹念にお尻を
合間にしっかり胸も揉む。
厚化粧だと言っても、女性の身体に触れるチャンスなど滅多にない。
これは身体検査、手を抜いてはイケナイ。
コレは、仕事だ。
手を抜かず、しっかりと触って確認しないとイケナイ。
身体検査をやり過ぎて下半身の居心地が悪くなった毘袁は、抜き取った三つ折りの財布を開けた。
マイナンバーカードがあった。
確認。
生年月日も載っていた。
計算すると、今年26歳。
ちょっと年上。
顔写真は化粧っ気が無く、意外と
――何や、化粧せえへん方がカワイイやんけ
と、写真と実物を何度も見比べる。
が、やっぱカワイイ方を取られたやっかみもあり、言葉に
「
その時、運転席から
「う、、、うぅぅう、、、」
男の意識が戻り始めている。
そうこうしてる間に、この女も気が付き始めるだろう。
「ほら、マジで
わかった解ったと、けれど最後にどうしても乳首を触りたい魯甫は、アンダーウェアの中に手を入れて驚いた。
――ノーブラ?
ブラトップ付きなんてモノを知らない魯甫には、驚く以外の事が出来ない。
「、、、?!」
驚いた事は、もう一つ。
自分の顔を見上げる大きな瞳と、眼が合った。
ハイルーフの後部座席の床に横たわる、これから
「イカ
瞳を開けると、尋常じゃない可愛さだった。
吐かれた言葉以外は、、、。
「、、、あれ?!」
指先がおかしい。
痛み?
魯甫は、自分の指の先に何が起きたのか知るために、滑り込ませていた手を引き抜いた。
「い、、、????」
引き抜いて、見て、信じられない事が起こっていた。
自分の親指、人差し指、中指の第二関節までが、
「どうした?」
毘袁が聞いた時、その美少女は車内で勢いよく
その動作の途中で足を延ばし、凍った指先を見ていた魯甫を蹴り飛ばした。
「ああっ?!」
「魯甫!」
間の抜けた声を上げた魯甫は、胸を
尻もちを付いていた。
違和感。
地面に付いた手を顔の前に持って来て、見た。
「あああ、、、???!」
今度は悲惨な悲鳴が、魯甫の口から勝手に上がっていた。
その魯甫が今まで居た位置に後ろ廻りを終え、綺麗に両手を拡げて着地する美少女。
「体操選手のぉ~!」
振り向いた。
尻餅を付いた、魯甫を見下ろす。
自分の指先を見て、意味の解らない声を上げている魯甫を見下ろす。
それを見て、くすくすと笑っていた。
「指無くなって、痛い?」
凍った魯甫の指先が、今の衝撃で
ああ、ああ、と頷く魯甫に、天使のように笑い掛ける。
「噓つけ。凍って痛さなんか
何だ? この女は何を言っている? と魯甫は今の今まで胸を揉んでいた美少女を見上げた。
見上げた視界の先に立つのは、EG使い、ユキオンナ。
「痛み無くしたるわ」
「へ、、、?」
魯甫に、あの感覚が来た。
痺れか?
痛みか?
――何なんだ?
その感覚は、今度は指先を通り越して肘まで来た。
視線を動かす。
あぁ、、、やっぱり。
肘まで、、、魯甫の右腕は肘まで、凍っていた。
「な? 指先ぜんぜん
天使の笑顔でそう言うと一旦車内に戻り、三列目のシートに置いていた金属バットを探す。
自分と同じく、シートの下、床に落ちていた。
あまりにも堂々としてゆっくりとした動きに、毘袁もユキオンナを見つめるだけで声も出せずに成り行きを見つめていた。
金属バットを肩に、再び魯甫の前に立つ。
「せ~のっ!」
フルスイング。
金属バットの、金属音。
勢いで、魯甫の身体が地面に倒れた。
倒されながら、氷が砕けるのを見ていた。
訂正。
凍った腕が砕けるのを、、、
肘から先が無くなった腕を見つめながら、魯甫が叫んだ。
「ああああああああああ、、、」
「な?
「魯甫おおお!!」
金属バットの金属音、その2。
毘袁が動こうとした瞬間、女が力任せにハイルーフの車体を金属バットで殴っていた。
揺れる車体。
「ええ加減、起きぃ!」
カッ! と、モコの眼が開いた。
それに気付く毘袁。
モコは、起き様に蹴りを放つ。
間が、空く。
モコが、ハイルーフから降り立った。
「?!」
自然霊とは別の、
「
ゆらゆらと、オーラが観えそうなほど濃い波動をモコが
――来る!
構え、足運びから空手に近い格闘術と判断した毘袁は、
入るのだが、相手はEG使い、、、。
単純に
迷う暇も無く、モコの
ローキック。
左のジャブが来る。
と解っても、これは躱せないと毘袁は判断。
右のガードを上げた。
「?!」
背筋に冷たいモノが
EG波を