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とんでもない奇跡を経験した真琴の恋愛録
とんでもない奇跡を経験した真琴の恋愛録
たらふくごん
恋愛現代恋愛
2025年04月24日
公開日
3.1万字
連載中
ずっと好きだった男の子。 私はついに告白されて天にも昇るくらい幸せだった。 家族での里帰り。 その前日の夜に彼は私に告白していた。 きっと彼も怖かったみたい。 私に断られるのが。 もう、絶対にそんなことないのに。 だから数日家を空けるタイミングで彼は告白し、私が帰ったときに返事をすることにしていたんだ。 でも。 私たち家族は事故に巻き込まれ命を落とした。 そして何もない変な空間で私は創世神を名乗るお爺さんに出会う。 私は一所懸命お願いして神様と賭けをすることになる。 『異世界を救う』 そして私は転生し、絶世の美女ニーナ姫に転生した。 転生先の世界。 あり得ないほどのハードモード。 私は死に物狂いで努力を続けた。 そして私は失敗してしまう。 貴族たちに追い詰められ、命を散らしてしまっていた。 再び相まみえるお爺さん。 でもお爺さん、創造神は最後のもう一度チャンスをくれた。 でもさ、そのミッション。 激ムズなんですけど? こうして奇妙な生活が現実世界で始まる。 それにしてもさ。 主人公私でしょ? 何で私、何もできないのよ―――!!!

第1話 神様の事情

「潮時かもしれぬな……勇者はよくやってくれた。可哀そうな事にはなってしまったが……許せ。……じゃが封印が解けそうじゃ。……次はわしも覚悟を決めようぞ」


朧気な、よく視認できないような空間で老人が独り言ちる。

彼『創造神』はやや斜め上を見上げ、映し出されているいくつかの世界に目を向けた。


「……あの世界は守らなければならぬ。何を犠牲にしても……それだけは譲れぬ。たとえ恨まれようとも。……ん?来訪者?!……ふむ。久しいな。……強い感情だ……」


老人は手に持つ杖を軽く振る。

たちまち人のような靄が湧き上がってきた。


「えっ?どこ、ここ……っ!?お父さん?お母さん?どこっ!?」


靄だったモノは姿を形成する。

どうやら若い女性のようだ。


「あああ、お父さんっ!!お母さんっ!!!………やっぱり死んじゃったんだ……誠……ああ、誠っ!!ああああっ、ああああああああっっ、うああああああああああああ!!???」


泣き崩れる女性。

強い感情の波が体から幾重にも沸き上がっていく。


「ふむ。凄いな。……お主、名は何という」

「………えっ?………お爺さん?」


女性はキョトンとする。

顔は涙でぐしゃぐしゃだ。


「とりあえず自己紹介しようぞ。わしは創造神。すべての世界を作りし者だ。所謂神様じゃの」

「創造神……様!?……あ、あのっ、お願いします。誠に、彼に会いたいです。何でもします。お願いしますっ!」


土下座する女性。


彼女の心は驚くほど真直ぐだった。

愛する相手なのだろうか。

ただひたすらに『誠』という男性を想っている。


置かれた状況や自分の事を全く考えずに。


おもしろい。


創造神は思った。

普通自身の状況を考えるのが当たり前だ。

だが目の前の女性はただ誠という男性に会いたいと懇願するのみ。


清々しいほどに。


「ふむ。そんなにその誠という男性に会いたいか。良いじゃろう。お主の心意気に感服した。チャンスをやろう。お主転生せい。そしてその世界を救え」

「えっ?転生?………あ、あのっ、やっぱり私、死んだのですか?お父さんとお母さんは……」

「ふむ。事故じゃな。残念ながらお主の両親はすでに輪廻の波に導かれた。機会を得て新たな命としてどこかの世界で誕生するであろう」


女性は呆然と立ち尽くした。

ショックなのだろう。

創造神は数えきれないくらいこういう状況を見てきていた。


女性は真っすぐ創造神を見つめる。


「分かりました。その異世界、救えるよう頑張ります。お父さんとお母さんはまたいつか新たな人生を送れるのですよね?なら、私は自分にできることを精いっぱいやります。そして誠に会う」


「ほっほっほ。うむ。良い決意じゃ。ならばいくつか情報を与えよう。お主が行く世界は『レルガリーム』という世界じゃ。剣と魔法、そしてモンスターひしめくいわゆる『ファンタジー世界』じゃな。……そうじゃのう。わしとの賭けじゃから『ずる』はなしじゃ。せいぜい頑張るとよい」


創造神は杖を振るう。

女性の体が光に包まれた。


「その世界の言語を理解するスキルを授けよう。それからお主は王国の姫に転生させる。因果を無視した褒美じゃからな。所謂チートは授ける事が出来ん。あとはお主次第。……それでもやるか?」

「やります」


即答する女性。

創造神は嬉しくなる自身の心に驚きを隠せずにいた。


「ほっ、即答とな?ふふふ。ああ、お前たちのような者がこの世を変えるのかもしれぬな。おっと、そうじゃ。まだ名を聞いておらんかったな」


女性は光に包まれながら真っすぐ創造神を見つめる。


「真琴。諸山真琴です。……誠は幼馴染で大好きな人です」


女性は消えていった。


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