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第6話 シャワーを浴びてみた

一応何となくだけど現実を受け入れた俺は取り敢えず声を出してみた。


「う……あ、あー…やっぱり夢じゃない。……どうしよう」

『おーい、ねえ、わかったでしょ?私ニーナ。よろしくね』


「……はあ」

『ちょっとひどくない?せっかく挨拶してるのにさ』


次はとりあえず起きて体を動かしてみる。

あー、あの爺さんの言ったとおりだね。


違和感がない。

まるでもともと女の子だったような感じまでしてきた。


部屋もなんか女の子の部屋みたいになってるし。

あっ、俺のゲーム機……あった。

よかった。


『ねえ、なんで無視するかな!?』

「あ、ごめんね。えっと…ニーナさん?俺はまこと。よろしくね」

『……(ふう、やっぱり)……まこと?…へえ…』

「???別に珍しくない名前だと思うけど……ああ、一応男だったんだけどさ…」

『あーうん。なんかごめんね』

「あ、別にニーナさんが悪いわけじゃないよね。俺が勝手に事故っただけだしさ…それに……大変だったね……その、お姫様だったんでしょ」


沈黙するニーナさん。

あれ、言ったらいけないやつなのかな?


ていうかよかったよ言葉通じて。

俺英語とかだめなんだよね。

こういうの転生特典とかなのかな……


「あ、あの、ニーナさん?」

『あ、ごめんね、うん、そうなんだよね。私お姫様でさ、あの世界ね魔法とかあるんだよ』

「へーマジか。……ねえ、ごめんね。俺割り込んじゃったみたいだね。君がせっかく転生できたみたいなのに……ていうか言葉普通に通じて良かったよ。……あと俺、死んだらしいんだよね。さっき変な爺さんに言われたんだ」


ん?

また沈黙?

俺なんかまずいこと言ったのかな……


「えーと、ニーナさん?」

『あっ、ごめんね。ちょっと考え事しててさ。あー、うん。言葉とかは転生特典、みたいな?』

「あ、やっぱりね。……その、こんな事聞くの失礼かと思うんですけど……」

『ん?なあに?良いよ、わかることなら答えるけど』

「おいくつなんでしょうか?その、ニーナさん。ああ、俺は今22歳です。独身です」


ん?なんだ?

なんか呆れられたような雰囲気なんだけど……


「あー女性に年とか聞いちゃダメでしたね。ごめんなさい。いいです」

『ねえ』

「はい?」

『……怒ってないの』

「はい?」

『………ふうう』

「……???」


あれ、なんか黙っちゃった。

まあいいか。

取り敢えず色々確認必要だよな。


あの爺さん、


「ちゃあんとそういう道理にしておいてやるでの」


とか言っていたけど。


俺は自分の財布の中から免許証を取り出す。

そして驚いた。


「ふわー。すげーな。……めっちゃ美人じゃん、俺」


免許証の写真が今の女の子の顔になっていた。

生年月日は…同じだな。

てか普通に日本人みたいになってるけど……

ハーフみたいな扱いなのかな?


…えっ?もしかしてさっきのじいさん……神様とか?


思わずベッドに腰掛ける。

今までならドスン!とかだったのに……

ポフン。

だって。


あー、そう言えば転んだままだし、汗かいていたな。

俺の時ならあまり気にしないけど、今女の子だもんね。

シャワー浴びるか。


『うう…』


ん?


「ニーナさん?何か言いました」

『……』


気のせいかな。

あー、多分色々縛りがあるんだろうな。

言っちゃいけない事とかあるのかな?


まあいいや。

どうせしばらく一緒に暮らすんだもんね。


そしてクローゼットの引き出しを開けてまた驚いてしまう。

女の子が身に着けるようなちっさいパンツとか、可愛らしいパステル系のブラジャーとかがいっぱいあった。


あ、断っておくけど俺そういう趣味ないからね。

うーん。

神様やばいね。

下着とかに詳しいのかなあの神様。


「まあいいや、んじゃ、これとこれ。うん。あとはシャツと…あっ、短パンがあるね。これでいいや」


準備は整った。

シャワー浴びよ。



※※※※※



俺は取り敢えず洗面所で服を脱いだ……んだけど…


「ひうっ!……うっわー、やばっ、……おっぱいでかっ!」


鏡にめっちゃ美人が全裸で映っていた。

うわーすごーい。

腰、細っ!!


足、長っ!


俺は無意識で胸に触れてしまう。


ふにゅん♡


「うひっ!……な、何この感触……うっわー、ちょー柔らかい。……あ、俺初めてだわ。女の子のおっぱい触るの……うう、変な感じす……ひゃん♡」


ついいじっていたら先っちょに触れてしまった。

全身に電気が走る。


「……うわー、やばい……えっと……下の方は‥…」

『ワーワーワーワー!!……も~、この変態!!おさわり禁止!!』


突然ニーナさんが大声を張り上げた。

俺はキョトンとしてしまう。


「あ……はい。……でも、洗わないと、ダメですよね?」

『……あうう……うん……もう、優しく洗ってね』

「う、うん。じゃあ、入るね」

『うう……うん』



※※※※※



取り敢えず全裸でふろ場に入った。

軽くシャワーで体を流し、洗おうと椅子に腰を掛ける。


家のふろ場は正面に大きな鏡があるんだけどさ……

もろ見えなのよね。


うわー、この子めっちゃキレイだね。

肌とかすべすべだわ。


いやー、俺今まで男だからさ、その、アレ付いてるわけでさ。

うん、当然ないんだけど……この子毛うっすいのよ。

……あそこの毛も茶色なんだね。


うわー初めて見る。

ふーん。

へー。


俺は何となく触ってみる。


「……ん?……んは♡……やべっ…」

『うわーーん!!もうお嫁いけないよー!!』

「うわっ!」


突然頭の中でニーナさんの大声が響いた。

思わず固まってしまう。


「…ニーナさん?急に大声やめてくれます?びっくりするじゃん」

『うう、だってまこと、その、触るんだもん』

「あ……うん。ごめん。……でもさ、初めて見るから興味あるっていうか」

『むう』

「でもどうせ洗うんでしょ?一緒じゃん」

『……』


何故かまただんまりになるニーナさん。

女の人の気持ちは良く判んないからなあ。


……たぶん俺が悪いんだろうな。

うん。

ごめんね。


そして目の前にあるシャンプーを見てまた固まってしまう。


「コンディショナー?……リンスのことかな?……使ったことないな…」


俺はいつも顔から洗うんだけど。

なんかニーナさんが『頭からでしょ?普通』とか言うし。


髪長くて面倒なんですけど……

ああ、こりゃ女の子風呂の時間かかるわけだね。


どうにか苦労して髪を洗い、説明書を見ながらコンディショナーなるものを髪になじませていく。


んん?

なんか楽しいかも。

髪の毛もめっちゃキレイだね。


馴染ませたらしばらく放置する?

じゃあその間に顔を洗おうかな。


クレンジング?

…んー爺さん芸が細かいな。


なになに?『化粧を一発で落とします?つるつるです。…使用後は洗顔できれいに洗い、化粧水で保湿しましょう?』


……えっ?洗顔1回じゃダメなの?

うわーめんどくさ。


……はあ、女の子って大変なんだね。


えっと、じゃあこのクレンジングで…って、なんかシンナーみたいな匂いだけど?

大丈夫!?


なんかしみる気がするからすぐに洗い落として、洗顔で……


えっ?

泡立ててから?

あわで優しく?


なになに「強くこすると角質が痛みシミの原因になったりします」

……あー、俺そんなこと考えたことなかったわ。


ふーん。

大変なんだね、女の子。

皆努力しているんだな……


よし、洗えたから今度は髪の毛のコンディショナーを洗い落として……

うう、時間かかるな。


…体を洗うのは……あ、良かったこれは知ってるわ。

…ん?いつもごしごしするあかすりがないけど……

えっ?なにこの柔らかい可愛らしいスポンジ……これで洗うのか?


取り敢えずこれもボディーソープを馴染ませて泡立てて……

ふう、これでようやく洗える。


俺はいつも右手から洗うんだけど、良いんだよね?

何か順番とか在りそうで怖いわ。


シャワーひとつとっても男と女の子、全然違うんだね。

大変だ。


「えっと、ニーナさん?」

『……何』

「今から洗うんですけど、注意事項とか在ります?」

『……好きに洗えばいいじゃない』

「あー、うん。分かりました」


なんか怒ってるのかな?

まあいいや、良いっていうから洗おう。


うわ、おっぱい大きいから洗うとすごくフニフニして…

ひうっ、先っちょ、こんなに敏感なの?


おまたもよく洗った方が良いよね?

なんか複雑だしな。


えっと……

……ん?

洗えてるのかな?


なんか変な感じするけど……

………

………あふん♡


あー、困るな。

良く判らん。


でも……おしっことかどこから出るんだろ?

トイレで確認しないとかな。


色々考えながらのシャワーは、なんだかんだで1時間くらいかかってしまっていた。

冬なら確実に風邪ひいちゃうね。

まあ多分慣れるのだろうけど。


……慣れるよね!?


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