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SS その後の私。だって主人公は私でしょ?

「ねえ母さん、今度俺の彼女に会ってほしいんだけど」


ニーナが結婚してもう15年が経過していた。

今目の前で長男の裕也が顔を赤らめながら可愛い事を私に告げているところだ。


「んん?満里奈ちゃん?……なあにあんた。まさか『子供が出来た』とか言わないでしょうね?」

「なっ?!何言って……そ、そんなわけねーじゃん。た、ただ……一度会ってほしいんだ。俺……将来結婚したい」


今長男の裕也は高校3年生。

意外と優秀で来年春からは東京の国立大学へ行く予定だ。


「結婚?ふーん。でもそれって満里奈ちゃんも同じ気持ちなの?」

「う、うん。……実は満里奈の両親にはもう挨拶してきた」


顔を真っ赤にする裕也。

誠に似ている。


「挨拶?もしかして『僕にお嬢さんをください』とか言ったの?」

「…………う、うん。……お義父さんに笑われたけど…」


そりゃあね。

祐也はまだ高校生。

いくらなんでも早すぎる。


きっと相手のご両親も内心焦ったはずだ。

こりゃ私と誠でフォローしなくちゃだね。


「いいよ。お父さんも同席ってことで良いの」

「う、うん。……お父さん、怒るかな」


実は誠、意外にもしっかりお父さんをやっていて、今時珍しい怖いお父さんを演じていた。

まあそれ以上に子供たちはお父さん、誠の事尊敬しているけどね。


「ただいま~」


そんなことを話していると瑞樹が学校から帰ってきた。


「あれ、にいにじゃん。なにしてんのママと」

「うあ、べ、べつに?」

「ふーん。あっ、ねえママ、聞いてよー、今日さ……」


私と誠の可愛い子供たち。

きっともうすぐ次男の竜輝も部活を終えて帰ってくる。


家族5人、私たちは愛すべき日常を過ごしていた。



※※※※※



あのあと私は3人目の竜輝を出産し、役場を退職。

今では専業主婦?というか兼業農家として忙しい毎日を過ごしていた。


今では誠と一緒に年間1000万くらいは売り上げる、そこそこの農家へと成長していた。

誠の会社、実際給料はそんなに高くない。


今の社会情勢で誠の給料だけで子供3人を養うのはほぼ不可能だ。


まあ蓄えはそれなりにある。

子供たち3人、大学に出してやれるほどはすでに確保できていた。


これも真面目な誠のおかげ。

彼あれ以来、タバコはもちろんギャンブルとかもしない、ひたすらに私を愛してくれる素晴らしい夫でいてくれていた。

たまに趣味のバイクでツーリングに行くのが彼の唯一の道楽だ。

もっともガソリン代くらいしかかかってないのだけれどね。


そして実は。

もう40になる私たちだけど…


今私は妊娠している。


4人目の子供。

まだお腹は目立たないので3か月くらいだろうけど。


誠、すっごく喜んでくれていた。


「ああ、俺は本当に幸せだ。真琴に会えて、結婚できてうれしい」


そう言って優しくキスしてくれる。

未だに私たちはラブラブだった。



※※※※※



「ただいま」

「おかえり」


夜7時。

残業を終え帰宅した誠。


今でも私たちはお帰りのキスはデフォだ。

子供たちももう何も言わない。

瑞樹はなぜかいつもニヤニヤしているけどね。


「おっ?!良い匂い……これは肉じゃが?」

「正解。誠疲れたでしょ?先にお風呂にする?」

「あー、先にご飯かな。お腹空いた。……子供たちはもう済ませたのか?」

「ううん。今からだよ」

「そっか」


そう言い夫婦の部屋へと行く誠とわたし。

彼はいつも部屋着に着替えてから食事をする。


そういうところ、相変わらず真面目な人だ。


「うん?普段からの心構えだよ?そういう積み重ねが大事だと俺はニーナさんに教えられたんだよ」


誠は。


あの事件以降、凄くまじめに、そして楽しみながら常に自分を磨いていた。

40歳くらいになると人は色々劣化してしまう。

ポッコリお腹が出ちゃったりとかね。


でも彼は。


日を追うごとに成長しているんだ。


私の愛する旦那様。

本当にかっこいい♡


「……真琴?」

「ん?」

「…そ、その……ツワリとか、平気か?辛いならすぐに言ってほしい。…俺は今でもお前の事を心から愛している。……大切な君が辛い事を知らないのは…嫌だ」


もう。

この男は♡


いつでも私を喜ばせてくれる。


「うん♡ありがと。大丈夫だよ?私も誠に知っていて欲しい」

「……ああ、いくつになっても可愛い。……ん」

「ん♡………もう♡……ねえ、今夜……」

「っ!?お、おう。……そ、その…おなかの赤ちゃん……だ、大丈夫かな?」

「ばか。……大丈夫だよ」


もう結婚して19年。

知り合ってからは多分40年。


私たちはいつまでもラブラブです。


ああ、誠。


私を選んでくれて……


ありがとう。


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