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NEMESIS://Destruction of the Enders
NEMESIS://Destruction of the Enders
さんさん
SF空想科学
2025年04月24日
公開日
2.2万字
連載中
約50年前、突如として飛来した地球外生命体である異形の怪物、〈天使〉との戦いが始まった。 その侵略的外来生物との戦いにはあらゆる近代兵器が導入されたが、最も効果を発揮したのは、〈ネメシス〉という人型兵器だった。 日本のとある県、とある街〈青海ヶ丘〉。 〈天使〉との戦いが最も激しいこの街に暮らす14歳の少年、黒崎真は、同世代の人気アイドルグループ〈ヴァルキリーズ〉の新譜を買う放課の後寄り道の途中、〈天使〉との戦いに巻き込まれ生死をさまよう。 無事一命を取り留め、目を覚ました彼は、しかし、自身の体が女の子になっていることに気づいた。 現実に戸惑いを隠せない真だが、やがて〈ネメシス〉のパイロットとして〈天使〉との戦いに身を投じていくことになる。

第0話

雨が降っていた。

真っ黒な雨。


街中から聞こえていた悲鳴は、怒号は、絶叫は、今はもう遠くなっていた。


穴だらけになった地面。

溜まった泥水。

崩れた家、瓦礫の山


ちぎれた電線が濡れて火花を散らしていた。


そんな風景を炎が包む。

それがさらに、雨に沈む。


蒸した土の匂いの中にひとの焦げた臭いが混ざって、感じたことのない気持ち悪さに何度も嘔吐した。

浅い呼吸を繰り返しながら、ぬかるんだ地面を小さな足取りで懸命に進む。


そこら中に転がるひとのなかに、父さんと母さん、妹を探した。

いないのは分かっていた。


膝をついて、泥の中に倒れ込む。

炎が赤く染め上げる夜の空に、白くて大きな影が見える。


薄れていく意識の中、最後に、ぼくは、その白い影へ立ち向かう真っ黒な巨人の姿を見た___。



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