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蒼眼のイノリ~devil slayer~
蒼眼のイノリ~devil slayer~
河内三比呂
現代ファンタジー異能バトル
2025年04月27日
公開日
1,020字
連載中
現代世界。 ある日、謎の建造物が世界中に出現し、連日ニュースになっていた。 そんな日々は、突如その建造物から飛来し、人々を襲撃する異形の存在によって終わりを告げる。 世界で最初に壊滅した国──日本。 だが、それでも人々は諦めなかった。 その想いが届いたのか否か? 異能に目覚める者達の出現により、壊滅した世界は、国は、新たなフェーズへと移行するのであった。 彼女も……その一人である……。 (この作品は、ネオページ様オンリーです) (不定期ですが、ネオ書きコン1参加用なので、頻度をあげる予定です)

第1話 世界が壊滅したその日

 その日も、朝はいつも通りにやって来た。

 出張で不在の両親の代わりに、家政婦が料理を作ってそれを食べた。

 半熟たまごのベーコンエッグに、ホットトースト。牛乳を共にし、テレビを観ながら頬張ったのが、遠い昔のようだ。

 謎の建造物が世界中に出現したと話題になっており、連日ニュースで取り上げられていたあの頃。

 毎日、代わる代わるに科学者やらがゲスト出演し、予想やら見解やらを話していた。

 流石に同じ話題ばかりに飽きていた。

 だから――早めに学校へ向かおうとして、家政婦に引き留められたのを記憶している。


祈理いのりお嬢様! お待ち下さい!』


『なんですか? 私学校に……』


『テレビを! テレビを観て下さい! あぁ、なんて恐ろしい!!』


幸世さちよさん、どうし……え?』


 そこで、祈理は言葉を失った。

 何故なら、謎の建造物――後に漆黒の楔と名付けられる物体――そこから、異形の存在が突如として出現したからだ。

 漆黒の身体に翼と尻尾。

 顔こそあれど、瞳のないその存在は、次々に人間を襲って行った。

 中継をしていた報道記者も、例外なく襲われ……異形の大きな口に飲み込まれて嚙みちぎられ上半身を失い、その命は散った。

 カメラマンの映像も途絶え、テレビ各局は騒然とし、各国の元首がその対応に追われる事となった。

 本来なら、首脳達が集まり対応を協議するところだが、その時間すらなく、異形の存在達は人々を容赦なく襲う。

 だが、予想だにしていない事態は、国の判断を鈍らせるのだと、世界は知った。

 特に、日本は顕著であり、対策会議を開いたなど報道されている間に、国会議事堂が襲撃された。

 そうして、統率者を失った日本は、混乱を極め、世界で一番早く壊滅した国となった――


 それでも……人々は諦めなかった。

 日本人は、よく諦めの悪い人種と揶揄されていたが、全くその通りであったのだ。

 有志達が集い、反撃に出たのである。

 最初は、自衛隊。

 次に警察。

 そして、消防隊から……一般市民に至るまで。

 人々は、トップを失った中でも、懸命に生き延びるために謎の襲撃者達と戦う事を選んだのだ。

 そうして行く内に、人々の中から数人……不可思議な力を発現する者達が現れた。

 この異能を、天からの贈り物と称した人々は、その異能を手にした者達を主軸として、新たな戦闘体勢を整える事にした。


(でも、それも遠い話だと……あの時は思っていたんだ……)


 彼女の運命が動き出したのは、世界が壊滅してから三か月後の事。

 避難していたシェルターが――襲撃された日に訪れるのだ……。

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