あなたのお住まい、人外専用不動産屋「アマノガワ」がご紹介します
桜雨吹雪
現代ファンタジー都市ファンタジー
2025年04月28日
公開日
166字
連載中
2000年代、日本では元号も変わり始めた頃。突如として人ならざる者が現れた。
【世界の影】と呼ばれる場所で暮らしていた人外達は自分たちの存在証明のため表に出てきたのだ。一時期は混乱を極めたが、人語を話してコミュニケーションを取れる事や、争う意思がない事から共存に落ち着く。
そして今現在、人外達に対する法整備が完璧ではないものの日常生活に溶け込んでいた。
ただ、まだ共存を始めて浅いため人外達向けのお店は少ない。それは生活に大きく関わる住居もであった。
そんな中『人間族以外専用』をウリにする街の不動産屋『アマノガワ』があった。
第0話
重く垂れていた影が一軒の建物の前で止まる。ガラスのドアに貼り付けられたいくつもの紙を見て、影は大きくも緩やかに揺れた。
背の高いドアが押される。中の空気を浴びながら、中を覗き込むようにして影は姿を中に見せた。
「あのぉ……ボクでも借りられる部屋ってありますか?」
そう言って姿を見せたのは鱗で覆われた赤い体に長い尾を持ったドラゴンだった。