学園祭でにぎわう校門の前にローブを着た集団が仁王立ちで校舎全体を見回している。人数は七人。背の高い男を先頭に鶴翼の陣のように並んでいる。
「ここに例の奴らがいるんだな?」
「そうみたいです…」
よしと言って男は集団を率いて前に歩き出す。
「誰が本当の正義ヒーローかわからせてやる……」
そういうと手に持つ魔法術対策機関と晴山優吾の写真をくしゃくしゃにして校内へ消えていった。
学園祭二日目最終日。優吾のクラスの出し物も大詰めが近く、観客も盛り上がっている。今日のプログラムは最終日とあってか大忙しだ。まず、二日目組の試合をやって、その中の五名と一日目の五名の対戦……そこから一人を決める。優吾は第三ブロックで勝てばすぐに決勝戦である。
ここからはダイジェストで話していく。
二日目
【第一ブロック】
魔法術対策機関 第二班班員 台地 陸丸 VS. 二年生 夕凪 由奈 魔術のプロフェッショナル陸丸が勝利。
【第二ブロック】
第二班班員 海辺 海斗 VS. 三年生 野司馬 太郎丸 接戦したがしかし海辺が一枚上手だった。海辺の勝利
【第三ブロック】
第二班 班員 旋風寺 初風 VS. 一年生 不動 桃朗 途中不動が圧倒していたが、隙をついて初風が狙撃をして一撃で決めた。初風の勝利
二回戦 第一ブロック
彩虹寺 綾那 VS. 三年生 足立 太 圧倒的な力量で彩虹寺が勝利。
二回戦 第二ブロック
二年生琵琶 早秀 VS. 三年生 東海 帝王 圧倒的速さで東海の快勝。
そして、迎える第三ブロック
晴山優吾VS台地陸丸
互いにドーム中央に立つと陸丸が優吾へ口角が上がった顔を向ける。
「よう、先輩。昨日の試合はすごかったな。」
「その顔、何か企んでいるな?」
「どうかな~?」
審判が二人に離れるように指示して試合開始の合図を送る。戦闘が始まると優吾はすぐに魔装をして陸丸の攻撃を待つ。
「おいおい、悠長にしてていいのかよ……身内なら俺は手加減しないぞ?」
陸丸は素早く動き、魔術札を優吾へ貼り付けていくと多重詠唱をする。
動きは時を表し────────
満ちる。満ちる。満ち溢れる。
されど体は動かず────────
零れて、落ちて、
蝕みの虫をその身で受ける────────
最後は、暗闇へ沈む。
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黒い靄が優吾の鎧を蝕み始め、人間部分が露出される。そこへ二枚目の札の効果で重力の打撃が入る。
「おふ!?」
生身の痛みに優吾は思わずうずくまるが、陸丸は攻撃の手を緩めない。
「まだまだ、行くぞ。」
地面に手を突っ込んだ陸丸は四夜華のような糸を出して目の前に土の人形を顕現させる。
「
指と手を動かして土人形を操って優吾へ仕向ける。優吾はその攻撃をよけつつ拳で土人形を砕くが、人形はすぐに再生して攻撃を継続する。それを見ていた陸丸は糸を地面に固定して札を構える。
「さて、
札を優吾へ貼り付けようと優吾と土人形の殴り合いをかいくぐり再び札を貼り付ける。
満ちる。満ちる。満ち溢れる。
零れて、落ちて、
最後は、暗闇へ沈む。
「
優吾の背中へ大きな打撃が打たれるとそのまま前に飛んでいく。その攻撃に優吾は大勢を崩してしまい、土人形に拳をあてられてしまう。
「やっぱ、強いな……陸丸……」
優吾の身体は宙に舞いながら地面に近づく中、優吾は拳を地面に当てて衝撃を和らげて着地をする。土煙が舞い上がる中、陸丸は優吾を探そうと土人形の糸を握ろうと地面に手を伸ばすしたが、糸の先に重さを感じない。
「これは……やっちまったな。」
土煙が晴れると陸丸の前には剣を構えた優吾がいた。陸丸は思わず笑い声を漏らして両手をお手上げと言わんばかりに上にあげた。
「降参~」
その言葉を聞いた審判が試合を終了させた。会場が盛り上がると優吾は魔装を解除して陸丸へ手を伸ばす。
「さすが先輩だな。」
「あんま持ち上げな。まぁいいや…ほれ、行こうぜ。」
手を掴んで立ち上がった陸丸は優吾とともに会場を後にしていった。そして、ここから場面は午後の決勝戦に映る。優吾は第三ブロックなので自動的に決勝戦に上がる。その間、彩虹寺と海辺の準決勝を見る。もちろん彩虹寺が例の
「やってきたな。」
「約束は守る男だからな。」
そして、二人は自分の入場口へと歩いて行った。
2/48:二日目