その頃、小夜楢未来の敵、西御寺篤也は学校の入口に立ってその光景を見上げていた。
「ヤツめ、まさかここに来て、こうも早く行動を起こすとはな……」
異変に気づくとともに学校に直行した西御寺だったが、未来に招かれていた昴たちと違い、異分子でしかない彼は、この空間に侵入するのに手間取ってしまった。
おかげで戦闘用に用意していた呪符は、すべて使い切ってしまい、持ち込めた武器は対術師用の投げ槍と、格闘戦用のトンファーのみだ。
「しかし、なんというバケモノどもだ」
その視線は、神獣ではなく超能力を操る姉妹に向けられている。彼の知識において神獣は絶対無敵の存在だった。だが鋼鉄姉妹は、その神獣を圧倒的な力で翻弄している。
「だが、あれではダメだ。いかな攻撃力を持つものでも、あれを倒すことはできない。あれを倒すすべはただひとつ……」
そう言って手にした槍を見つめる。
「まさか、この手で教え子を殺めることになろうとはな……」
西御寺は北校舎の屋上を見上げた。その瞳に冷たい光を湛えて。