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第36話 殺意の使者

 その頃、小夜楢未来の敵、西御寺篤也は学校の入口に立ってその光景を見上げていた。

「ヤツめ、まさかここに来て、こうも早く行動を起こすとはな……」


 異変に気づくとともに学校に直行した西御寺だったが、未来に招かれていた昴たちと違い、異分子でしかない彼は、この空間に侵入するのに手間取ってしまった。

 おかげで戦闘用に用意していた呪符は、すべて使い切ってしまい、持ち込めた武器は対術師用の投げ槍と、格闘戦用のトンファーのみだ。


「しかし、なんというバケモノどもだ」


 その視線は、神獣ではなく超能力を操る姉妹に向けられている。彼の知識において神獣は絶対無敵の存在だった。だが鋼鉄姉妹は、その神獣を圧倒的な力で翻弄している。


「だが、あれではダメだ。いかな攻撃力を持つものでも、あれを倒すことはできない。あれを倒すすべはただひとつ……」


 そう言って手にした槍を見つめる。


「まさか、この手で教え子を殺めることになろうとはな……」


 西御寺は北校舎の屋上を見上げた。その瞳に冷たい光を湛えて。


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