「――白銀の仙気を宿し者よ」
それは淡い白色の何かだった。
宙に浮き陽炎のように揺らめく白い何か。
人魂の様な姿をしていて、身体の芯から響い来る様な重低音と高音の声が直接頭に語りかけてくる。
「――受け継げ――我の力の根源を――」
「ッ」
思わず胸を押さえて歯ぎしりをした。
人魂から発せられる波打つオーラ。俺の体を貫く、否、俺の体に入って来るそれは止めどない。
心の蔵を抉られた。そう錯覚してしまうほど、体に入って来るオーラは力強い仙気だった。
「ッッグガ!?」
体全体に、それこそ細胞の一つ一つに悲鳴。
心臓が脈打つたびに、血が血管を巡るほどに、細胞から神経、骨、筋線維に皮膚、舌から眼球までもが波及するオーラによって変化。
「――継げ――継げ! ――継げ!!」
「ううぅう!!」
「――我の意志を――我らの想いを――」
「ぅぅぅう゛う゛う゛う!!!!」
より上へ。より上へ。
人の身では到底辿り着けない更なる次元へ。
しかして人の身でなければ到底辿り着けない更なる次元へ。
細胞の一つ一つから溢れんばかりの力が波及。
ピキリピキリと砕かれたコンクリートのようにひび割れた身体。しかし光の粒子を纏って再生していく身体。
ぐちゃぐちゃに混ざり合った知らない知識と記憶も流れて来る。
「ああああああああああああ――――――」
――渇いた魔物を屠るために。
――
――安寧を凌辱する暗黒を屠るために。
――外なる神々を屠るために。
――愛する
――星霜の彼方にて薄らいだ桃源を夢見ながら。
――――託す。
淡い白銀の光。
やがて俺を包む様に内側から光が漏れ出し、辺り一帯を覆うのだった。