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第3話 魔法少女のスキル

 霧島は牧原の能力が気になった。姿かたちにヒントはないかと、牧原を観察する。しかし、姿からは何のヒントも得られなかった。

 モンスターの種類にもよるが、四、五体ぐらいなら、霧島一人で対処できる。しかし、集団で出てきたら対処できないかもしれない。まだ、そんな多くのモンスターが出現するという事象は起きていないが。

 先ほど倒したモンスターに蹴り入れているのを見たので、武器や戦闘系のスキルではないとは予想できる。とは言え、知っておいて損はないだろうと聞くことにした。

「ところで、牧原さんはどんなスキルを持っているの?」

 霧島が聞いた。

「スキルって?」

「え。そこから教えないとダメなの! もしかして初心者」

 霧島が驚き聞いた。

「うん。魔法石を入手してから多分、十分ぐらいしか経ってない」

「正真正銘の初心者か~」

 霧島は、溜息を吐く。戦闘向きのスキルだったとしても、初心者では、戦闘の役に立たない。

「例えば、僕の場合、剣のスキル。剣を出したりできるスキルだ。牧原さんにも同じような能力があるはずだよ」

「武器を出せるんだ」

「武器を出せるとは限らないけどね。例えば、炎や雷を出したり、盾やヨロイを出したり、何も出せない代わりに、身体能力を強化出来たりと魔法石ごとに異なる能力が使えるようになる。それがスキルと言うんだ」

 牧原は、「スキルか~」と言うと考え込む。

「視界が三百六十度全部見えるようになったんだけど、これの事かな?」

 それを聞いて、今度は霧島は悩む。視界が三百六十度見えるスキルなんて聞いたことがないからである。

「三百六十度見えるってどんな感じ?」

 霧島が聞いた。

「どんな感じと言われても困るんだけど……」

 牧原は、説明の仕方に悩む。

「自分の周りに三百六十度のスクリーンがあって、白黒の映像が映っている感じかなぁ。あ、でも両目で見ている部分はカラーなんだよ。でも目を閉じると、全体が白黒に変わる」

 そう言うと、牧原は「うーん」と唸る。

「わかったかな?」

 牧原は苦笑いを浮かべて言った。

「なんとなく。でも、目で見えている場所だけカラーなんだね。でも、目を閉じても周りが見えているなんて困らない?」

 霧島は、悩みながら聞いた。

「今のところ困らないかな。まだ、十分ほどしか経験していないので、わからないけど」

 霧島は、牧原の能力がなんの役に立つのか、想像がつかなった。牧原自身がまだ自分の能力を把握していないのも原因でもあるが。

 とりあえず、二人はスーパーへ向かう。




 二人でスーバーへの向かって歩いていると、「モンスターが現れた」と、牧原が言った。

「え、どこ?」

 霧島は、どこにいるのかわからず彼方此方見回す。

「三つ先の十字路を右に曲がったところ、鎌みたいな手のモンスターが二体もいる」

「右に曲がったところ⁉」

 霧島は驚く。そんなところにモンスターがいたとして通常見えるはずがない。

 しかし、牧原にとっては二回目だ。一回目は見通しの利かないカーブの狭い道路を爆走する車が来るのが、見えていた。そして、今度は曲がり角を曲がった先のモンスターを見たのだ。

 牧原の言う通り、モンスターが十字路の右側から二体現れた。

「まだ、こちらに気付いていないようだ」

 霧島が、モンスターを観察しながら言った。

「確かにこっちに気付いていないようだね。こっちに来ないかもしれない」

 牧原の希望的観測は、ハズレた。

 モンスターたちは、牧原たちの方へ向かって歩いて来る。

 霧島は、剣を何もないところから出す。そして、剣を一振りすると斬撃が飛んでいき、モンスターの一体に命中する。さらにもう二振りすると、二回とも斬撃が飛ぶ。二回とも一体目と同じモンスターに命中し倒す。

 残りのもう一体がこちらに向かって走り出す。

 しかし、速いとは言えない。

 霧島は、さら三回斬撃を飛ばし、あっさりもう一体も倒す。

「スゲー! マンガの剣士みたい。衝撃波みたいなのナニ?」

 牧原が聞いた。

「斬撃飛ばしというサブスキルだよ」

「サブスキル?」

「剣のスキルを持っていると、習得できることがある補助的なスキルだね」

「そんなモノもあるんだ。僕にもあるのかな?」

「サブスキル以前に、メインスキルが何かを知るのが先だね。君のスキルはまだ良くわからない。曲がり角の先にいるモンスターが君には見えていたけど、なんのスキルだい?」

 牧原は、首を傾げる。


 二人は倒したモンスターの傍へ行く。

 牧原はモンスターの額を見て、石がないことに気付く。

「こいつの額には魔法石の残骸がないね。どうして?」

 牧原が聞く。

「こいつは元人間じゃないってことさ。ライトピラーからやって来たんだよ」

「え! ライトピラーから来たってどうしてわかるの?」

「どうしてって、モンスターの発生源はライトピラーだからね」

「え! そうなの?」

「モンスターには、ライトピラーから出てきたのと、魔法石を手に取った人間がモンスター化したのと二通りあるんだよ」

「ライトピラーって、モンスターが出てくるの!」

 牧原は驚く。

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