ふと真鍋は人の気配に我に返った。囲まれている。
無意識に懐に手を入れる真鍋に向かい、一人の男が近付いてきた。
「よお、ずいぶん懐かしい顔じゃねえか。盗んだそれ、返せよ」
和真だ。雰囲気は随分変わったが、あのニヤついた顔は変わらない。