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ヒナ
恋愛現代恋愛
2025年05月14日
公開日
2.5万字
連載中
高校生活最後の春に彼は声を失いーー。感動と友情と恋愛を描いたラブコメディ

第1話 再開…!愛した人は音を無くしていた…切ない恋が動き出す♯1

2014年12月

高校3年生、制服姿の青羽紬(18)、団地の外階段を下りていく。途中の踊り場でふと立ち止まり、降り始めた雪に気が付く。嬉しそうに空を見上げてから、さっきよりも少し駆け足に階段を下りていく。 紬、駅内を駆けて行く。イヤホンで音楽を聴きながら誰かを待っている佐倉想(18)。紬が目の前にやってくる。ワクワクした顔でこっちを見ている。想、イヤホンを外しながら、(想)「おはよ、」(紬)「(食い気味に)雪だね!」どすごく楽しそうで、嬉しそう。(想)「(笑いを堪えて)雪だね」並んで歩き出す2人。紬、今にもスキップしそうな軽い足取り。想、それをちょっと心配そうに見守りながら歩く。(紬)「積もるかな」(想)「(雪を見上げて)積もんないでしょ」(紬)「積もるな。これは、絶対。積もるやつだ」想、「はいはい」という感じ出笑って受け流す。(紬)「雪の中でサッカーしたら、あれだね、どんどんボール大きくなるね」(想)「⋯ん?」(紬)「雪だるまって、ほら、転がして大きくしてさ、2つ作ってさ、いっこ乗っけて、ね」(想)「(理解して)ボールに雪ついて、大きくなるってこと?」(紬)「なるでしょ。雪だるま的に」(想)「(吹き出して笑って)なんないよ」(紬)「え、なるよ。雪がどんどんこうさ、まとわりついてさ、」と、両手でサッカーボールを表す。(想)「なんないよ」(紬)「いやいやいや、なるよ。今日外で部活してみ?雪だるま作り放題だよ?」愛おしそうに紬を見て、微笑む想。紬、突然人差し指を口の前に置いて、(紬)「シッ!」と、静かにするよう促す。想、よくわからないまま、とりあえず黙る。紬、耳を澄ませてから、(紬)「静かだね!雪降ると静かだよね!」と、やっぱり楽しそうで、嬉しそう。想、その姿がかわいくて、笑うだけ。(紬)「ね!静かだよね!ね!」と声のボリュームが上がる。(想)「(笑って)うるさい」(紬)「ん?」紬、わざと声を大きくして、(紬)「佐倉くん!静かだね!」(想)「うるさい!」笑う2人。雪が降っている。

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