『吏緒、今日の格好どう?』
目の前に居るのは女友達ではなく
女装した彼氏の楓だ。
『いいんじゃないか。
オレの格好はどうだ?』
今度は男装した自分が聞き返す。
『カッコイイよ』
二人で服装をチェックした後は何時ものようにデートへ出掛ける。
新しく出来たショッピングモールで今後の服を選ぶのが
目的だったのだが、そこで、ハプニングが起きた。
オレたちは今、服装が逆なわけで
楓が男にオレが女にナンパされたのだ……
どうすっかなぁ……
「お兄さん、私たちと回りませんか?」
いや、頬を赤く染めながら言われてもオレ女だし。
『吏緒、助けて』
楓は泣きそうだなぁ。
『人の恋人に気安く触んじゃねぇよ』
女どもは無視して楓に
触れてる男の手を捩り上げた。
「いててて」
まさか、ナンパしてくる奴が居るとは思わなかった。
『ありがとう』
とりあえず、楓を救出出来てよかった。
『そういうことだから
お前らと回る気はねぇよ他当たりな』
目的の服屋まで走った。
何着か買い、バスに乗ってやっと家に着いた。
『疲れた~』
部屋着に着替え、二人並んで床に座る。
今日は本当に疲れた。
服も買えたしまぁいいか。
こうして、オレたちの長~い一日が終わった。