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ゲームで祠を壊したら…
ゲームで祠を壊したら…
羊原ユウ
ホラー都市伝説
2025年05月25日
公開日
697字
連載中
動画サイトなどの実況プレイを見てVRホラーゲーム「柘榴村」に興味をもった紗倉茉莉花はゲームのプレイ中に禁忌とされている村の祠を誤って壊してしまう。 それから数日経たないうちに茉莉花の目にはゲームの中で壊した祠がなぜか見えるようになってしまう。困った茉莉花は親戚の伯父で祓い師でもある蘭堂春也に助けを求めるが…。

第1話 壊された祠

紗倉茉莉花さくらまりかは言い出そうか悩んでいた。向かい側の席では親戚で茉莉花の伯父にあたる蘭堂春也らんどうはるやがプレートの上に盛りつけられたおろしハンバーグをナイフで小さく切り分けて黙々と食べている。


「あの……おじさん」

「何だ茉莉花」

「……やっぱいい」

「はあ?お前さっきもなんか言いかけて止めただろ。怒らないから言ってみ」


ほらほら、と春也が茉莉花を煽ってくる。ワインレッドの革のジャケットの中に着た暗い赤色のシャツの袖から手がのぞく。右腕は肘あたりまで出ていて目玉のような模様の不気味な刺青タトゥーががっつり入っていた。


「おじさん……あれ、知ってる?柘榴村ってやつ」

「あー、あれか。最近流行ってるっていうVRホラーゲームだろ?茉莉花もしかしてやってんの?」


茉莉花は頷く。春也は「ほう、昔っからお化け屋敷も入れないくらい怖がりなくせに珍しいな」と言ってにやりと笑う。


「別にいいじゃん。気になったんだし。そういう伯父さんは?」

「俺もまあ一応、ユーザー登録だけしたけどそれっきりだな。面白いのかそれ?」


春也がフォークで焼きたてのハンバーグを一切れほおばる。茉莉花は再び頷いた。


「へえ。で、何か困ったことがあるんだろ。でなきゃ俺になんて連絡してこないもんなあ。ほら、言ってみ」


春也が茉莉花の頭の中を見透かしたかのように言った。茉莉花は観念して自分に数日前に起きたことをありのまま隠さずに話すと、春也は「ふうん」と興味なさそうに頷いただけだった。


「ようするにゲームの中でお前がうっかり壊した祠が現実でも見えるって、こういうことだな?」「うん」

「それ……いつも見えてんのか?」

「ずっとじゃなくてたまに。1人でいる時にいつの間にかあるかんじ」

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