匠翔さんが選んだ場所は‥‥‥‥以前‥‥‥お父さんとお母さんと暮らしていた所の近くの水族館だった。
水族館にも両親に連れられて来たけど‥‥思い入れがあるのは水族館の近くにある歩道橋。夕日がキレイに見える。嫌な事・悲しい事を一旦、夕日が流してくれる。そして、冷静に考えられるようにリスタートができるようにしてくれる私の大切な場所。
母が亡くなった頃によく来た場所。最後は父のお葬式の後に、これからは、1人で頑張って生きていくためにきた。私‥‥‥1人で頑張れている!!
水族館では、ショーを見たり、話したり楽しい1日で、あっという間だった。
「そろそろ帰ろうか?」
「あっ。はい。もうこんな時間なんですね。」紗英は少し残念そうに言う。(楽しすぎて本当に時間が過ぎるのが早すぎた。もっと一緒にいたい。)
「後少し時間大丈夫??」
「はい!全然大丈夫です!」(あっ。嬉しすぎて声が大きくなりすぎたー!!!恥ずかしい〜。)
「よかった。ちょっとだけ歩くけど、いい?」
「はい。大丈夫です。」
匠翔が歩道橋の方にむかって歩きだす。
歩道橋の真ん中まで止まる。
「ここなんだ!!」夕日がキレイにオレンジ色に見えた。
「わぁー!!匠翔さんもこの場所知ってたんですね??」偶然が嬉しすぎて興奮して紗英が言う。
「「も」っとは??」
「私‥‥‥2年前ぐらいからよくここに来てたんです。夕日を見に!!」
「えっ!!!そうなんだ?!!!俺も仕事で嫌な事があればよく夕日を見に来てた。最近は来てないけど!」
「すっごい!偶然です。私も嫌な事が
あった時に前に進むために夕日を見に来てました。もしかしたらすれ違ってたかもしれないですね?」って紗英は嬉しそうに話す。匠翔はドキッとしたが平静を装い‥‥‥‥
「そうかもな!!」っと返事した。
「私も最近は来てないな〜。あっ!!匠翔さんも来てないって事は嫌な事がないんですね。よかったー。」匠翔を見て笑う。
「違うよ。最近は紗英ちゃんに会いに行って癒やされてるからね。ありがとう。」
「そっそそ‥‥‥そんなそんな。」
「フフフ。癒やされてるよ。毎日。」
「毎日?」
「そう。毎日。会えない日は紗英ちゃんを思い出して1人でニヤニヤしてる」
「えーえー。ウソですよ!」紗英が匠翔の肩をポーンと叩いた。その手を匠翔が掴む。