かっこ悪ぃ~
俺は今四つ下の恋人に振り回されている。
いや違うか……
俺が勝手に嫉妬してるだけだ。
ダチの妹のダチにあたる恋人は所謂ノンケ。
それでも、俺がしつこく告ったからか
今こうして恋人の座を
手に入れたわけだが、
ある日のデート中に“元カノ”と遭遇して
楽しそうに話すあいつと喧嘩になった。
理由は俺の言葉。
「お前、まだ元カノに未練あるんじゃないか?」
この言葉が喧嘩の発端になり
近所迷惑なんて考えずに
怒鳴りあった……
「そんなわけないだろう!!
好きじゃなきゃ、わさわざ男のあんたとなんか
付き合うわけないじゃん」
こいつはキレると敬語が外れる。
そして、先に折れるのも俺。
「悪い、本気で言ったわけじゃないんだ
あまりにも楽しそうに
話してたから嫉妬したんだ……
お前は元々ノンケだし若いから
いくらでもやり直せるだろう?」
本気で言ったわけじゃないのも
そう思ったのも本当だ。
十代最後の恋人が俺みたいな
年上の男でいいのかと悩んだ。
「はぁ~
成る程、俺が同情であんたと
付き合ってるとそう思われてたわけか」
当たっているから言い返しようがない……
俯く俺に近付いて顔を上げさせると
唇に軽くキスした。
「俺は同情で男と付き合えません。
最初は冗談かとも思いましたけど
何度も何度も言ってくれて本気なんだって
わかったから告白に同意したんです」
敬語に戻ってる。
「俺が悪かった」
こいつの気持ちを一瞬でも疑っちまった俺は
自分に自信がないんだ。
「解ってくれればそれでいいですよ」
この後は秘密だ。