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 顔には縁なしの眼鏡をかけ、二十八歳という若さでありながら医師としての厳しい勉強に明け暮れてきた望。 彼の真面目で誠実な性格は、外見通りにも表れている。


 望とコンビを組み、人気を誇るのが、:梅沢 和也(うめざわ かずや)。 やや高身長で眼鏡をかけず、性格は望とは正反対で明るく面白みがあり、患者たちに親しまれている。



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「そんな俺は……今まで仕事で親がいなく、寂しかった幼き時代を過ごした。だから素直になれなくて……だけど、愛情を教えてくれたのは、俺のことを心から愛してくれる彼だった」



 この物語は、春坂病院から始まる。


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 ある日の深夜。


 これまで静かに時を刻んでいた病院が、急に慌ただしく動き出す。 救急からの連絡によれば、緊急の患者が運ばれるとのこと。


 医者や看護師たちは迅速に患者の受け入れ態勢を整え、遠くからサイレンの音が聞こえてくる。 救急車が春坂病院に近づいている。


 サイレンが鳴りやんだ瞬間、救急車からはある男性が運ばれてくる。 夜中の時間帯は通常、重傷者が多い。 今回も例外ではないようだ。


 運ばれてきた患者は、消防士らしく、消防服を身にまとっていた。 おそらく、消火活動中に事故に遭い、怪我を負ったのだろう。


「患者さんの容態は?」


 今夜の当直医である望が、救急隊員に事情を尋ねる。 これが患者の治療において不可欠な情報だ。


「火事の現場で、木造のアパートの二階で消火活動中に、脆くなっていた床が崩れて一階に落ちたそうです」

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