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「ただ単に今まで桜井さんの担当は俺だったって話したら変わってくれただけなんだよ。今までの入院と関係してたからな」


 自分の部屋に戻ると望は電気を点けて仕事を始める。


「関係? え? 今回は何があったんだ?」

「あー……それな、簡単に言うと、桜井さんには坂本さんっていう親友がいただろ? そいつが自殺しようとして桜井さんが止めに入った所で誤って刺さってしまったらしいんだよな」

「へぇー、そうだったんだ……で、その坂本さんはどうなったんだ?」

「さっき、警察の人が来てたみたいだから、今頃は警察署の中なんじゃねぇのかな? そこまで俺も詳しくは聞いてないや」

「そっか……それなら、俺が奴に聞いてやったもいいぜ」

「え? いいよ……お前に頼むとろくな事にならないからさ」


 望は和也に向かって睨みつけるように見るのだが、それは半分は冗談でだ。


「フフ……俺の行動はバレバレだってかー!」


 その望の言葉に冗談気味に返すと、


「別に……もうそういうのは無し! そうそう! 俺は望の側で働けるって言うだけで十分幸せなんだからさ」


 そう言うと和也は、望と和也の席の間にある電話を取ると知り合いの白井に電話を掛ける。


 そして電話を終わらせると、


「うん……事情は分かった。桜井さんは、自殺しようとしていた坂本さんを止めに入って桜井さんの方は腹にその包丁が刺さってしまった。でも、流石の被疑者の方も焦ったらしいんだよな……そうそう! 今まで桜井さんにしていた事はあくまで脅しだっただけの事で桜井さんを本気で殺すつもりなんてなかったんだって、だから、桜井さんが刺された後には救急車も呼んだし、自分も自首したらしいぜ」

「そうだったのかー……やっと、今までの話が繋がったよな。はぁー、これで、一安心だなっ! とりあえず、犯人は捕まったみたいだし仕事も終わったし! さてと、帰るかな?」


 とその時、部屋にある電話が鳴り響く。どうやら内線らしく望は急いで、その電話に出るのだ。


「はい!」

『今すぐに桜井さんの病室までお願いします!』

「え!?」


 そう言った直後にはもう電話を切られてしまっていた。


「ちょ、俺、桜井さんのとこに行ってくるわぁ!」

「……へ? 今の電話は桜井さんに何かあったのか!?」

「いや、分からない。あっちも急ぎだったのか直ぐに電話切ってしまってたからさ」

「そっか……じゃなくて! 俺も行くって!」

「ああ……おう、そうだったな」

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