「え？　望が奴を拒否したのか！？　 そりゃ、間違いなく、奴は誤解していると思うぜ。まぁ、望の言い分も分かるけどよ。まだ、そのことを奴には話してないんだろ?」

　望は和也の言葉にコクリと頷く。

「それなら、望からハッキリと一昨日、奴を拒否した理由言ってやれよ。奴はきっとこう思ってると思うぜ『望に嫌われた』ってな。望はそういう理由だったかもしれねぇけど、それでは奴には伝わってねぇと思うしよ」

　和也が今説明してくれた言葉に望は目を丸くするのだ。

「そうか！　そうだったのか！　一昨日のことは俺が悪かったのか！」

「だから、素直に謝って自分の本当の気持ちを伝えてやれよ」

　和也はポンッと望の肩を叩くと食べ終えた食器を片付けて行く。

「素直になるか……」

　和也が言った一言をぼそりと口にすると、まだ残っている食事を口にしながら望はボッーと中庭を眺めてしまうのだ。

「望ー、今度は何悩んでるんだよー。 箸の動きが止まってるぜ」

「あ、ああ……え？　あ……まぁ……後は俺の問題だからな」

「分かったけど、その悩みを絶対に仕事に出すんじゃねぇぞ！」

　最後の言葉を念を押すかのように真剣な瞳で望の事を見つめ言う和也。

「分かってるよ……」