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ー記憶ー67

「確かな……昨日、望のことを抱きたいって言った時に、望は『風邪が治ったらな』って言っておったしな。そして、今日は今日で『早く出て来いよ』に『昨日の約束守ってやる』って言っておったしな……それを合わせると、そういう事になるって訳や!」


 雄介はやっとの事で望の意味あり気な言葉を思い出したのか、今日は念入りに体を洗い始める。しかも、望からのお誘いなのだからこんな幸せなことはないだろう。


 雄介は鼻歌を歌いながら体を洗い、お風呂から出ようとしたのだが、急に体の動きを止める。


「明日、望の奴、大丈夫なんやろか? 仕事に差し支えるようなら、流石に今日はやめておいた方がいいわけやしな? ま、ええか……後は望次第っていう事で!」


 雄介は体を拭き終えると、望がいるであろうリビングへと向かう。


 そして未だにソファでテレビを見ている望の後ろから体を抱き締めるのだ。


「なぁ、明日は仕事大丈夫なん?」

「ん? あ……出てきたのか? ああ、明日は久しぶりに休みをとったんだ。だから休み。だけどお前は仕事あんだろ?」

「んー……俺やってもう一日位ええやろな?」


 望はその言葉に軽くクスリとする。


「あー! ほなら、明日はデートしよっか!?」

「え? ん……あー……まぁ……ああ……まぁ、いいけどよ……」


 そんな会話から明日は二人にとって初めてのデートとなったようだ。


 まだ行くところなんて決めてはいないけど、今はとりあえずリビングの電気を消して、望の部屋へと向かうのだ。

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