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ー記憶ー108

 雄介は荷物を椅子に置くと、同時に別の人物も入ってきた。


 この病室に入れるのは限られている。雄介からしたら、だいたい見当がついているだろう。


 雄介は人の気配に視線を向けると、やはり予想通りの人物がそこに立っていた。


「おう! やっぱり、雄介……来てたんだな」

「ああ、まぁ……一昨日の時に来るって約束しておったしな」


 和也と雄介はそう簡単に挨拶を交わすと、和也は雄介が持っている荷物に気付く。


「……へ? これは?」

「ああ、これはか? 望の身の回りの物やで……。 急遽入院決まった事やし、何もなかったやろ?」

「あ、そっか!  俺はそこまで頭回ってなかったぜ」

「しゃーないやんか……今までバタバタしておったしな。 それに、俺の方が入院歴あったし」

「ま、確かにそこはそうだような。入院歴あれば入院してる時の荷物って分かってるもんだしな。まぁ、俺の方もたまに入院してくる患者さんに説明とかするけどよ。……んでも、そこまで考えてなかったしな」

「ま、そういうもんやろ? 俺なんかは、ついこの間までしょっちゅうやったしな」


 雄介は言いながら、買って来た物を机の上に広げる。


「ま、思い出したし、パジャマも買って来たわぁ」

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