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ー記憶ー119 ※微性的表現あり

「……せやけど」


 やっぱり今の望は、以前の彼とは性格が異なるように感じる。


 ハッキリ言って、今の望にはどのように接すればいいのか、まったく見当がつかない。


 以前の望なら、下に和也がいようがいまいが、望からの誘いには喜んで応じるだろう。しかし、今は彼の記憶がない。


 やはり雄介からすれば、今の望は望であって望ではない。完全に別人とみなしているようだ。


「ほら……」


 雄介は望に手を引かれ、ベッドの上に仰向けにされるが、今の望には抱かれる気はないらしく、体を一切動かさない。


 望はその雄介の気持ちを理解しているのか、あるいは無自覚なのか、彼の腹にまたがりながら彼を見つめた。


「な、望……ホンマ、ちょ、アカンって……。下で和也が待っておるし……」

「さっきからお前そればっかじゃねぇか……今の俺じゃ不満なのか?」


 今の望は、雄介の気持ちを理解しているのか、または無自覚なのか、彼を誘っているようにも見える。


 その行動に雄介は溜め息しか出てこない。


 本当にどうすればいいのか。


 今の望に手を出すべきなのか、望の記憶が戻るまで待つべきなのか。そう悩む雄介。


「なぁ?」


 雄介に望は甘い声で誘うように問いかけ、なぜか彼のお腹の上で腰を動かしてくる。


 雄介は理性を抑えようとして瞳を閉じたままでいるが、望は彼の反応を気にせず、彼の手首を取って自分のパジャマの中に入れてしまう。

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