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ー天災ー31

 さっきまでは、雄介だって隣には恋人がいた。だけど、雄介が望に隠し事をしているのがバレてしまい、今は喧嘩状態になってしまった。雄介の隣にはもはや望はいないということだ。


 今は仕方ないとしよう。そこは雄介自身が悪いのだから。だけど家に帰ってからどうすればいいのだろうか。


 そうだ。一番いいのは、雄介が望にちゃんと話をすることだ。もし話さないでいたら、このままずっとこの状態なのかもしれない。だけどもしかしたらそのことを望に話しても、喧嘩状態が続くのかもしれない。


 でも、『望に話す』の方はまだ試していない。そう、雄介自身の判断で、あくまでそう思っているだけなのだから。


 もしかしたら、望が雄介に向かって「電車で帰って来い」と言ったのは、雄介に考える時間を与えてくれたとも考えられる。


 確かに、考える時間はあった。家に帰宅するまで、ここからなら多分三十分はある。


 その間に、雄介は考え事をまとめて帰宅して来て、それを話してくれるのかもしれない。とでも、望は思っているのであろう。


 雄介は、人通りが多い中、一人歩みを止めて空に向かって息を吐く。


 もうそうだ。選択肢というのは一つしかない。


 望に『異動になった』ということを帰ったら、きちんと話そう。もしかしたら何か勘違いをしているのかもしれないのだから。


 そう決めると、雄介はまた歩き始める。


 家に帰宅したら、ちゃんと望に言う。という決断をしても、未だに迷い続けているようだ。


 雄介とは、そういう性格だ。


 いいように言えば優しすぎる男性。反対に言えば決断力が欠けているということだろう。

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