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ー天災ー95

「ゴメン……まだ、仕事が終わってないのにさ。でも、望が、ああ言う風に言うから」


 そこまで言うと、和也は頭を下げてまで望に話し始める。


「本当にゴメン……でもさ、望だって、気付いたんだろ? 俺がアイツのこと気になり始めてるってこと」

「クス……やっぱり、そうだったんだな」


 望は早くも和也のことで気付いていたらしく、やっぱりと思いながらクスクスとしているようだ。


「別に俺は最初はアイツのこと、何も思ってなかったんだけどさ……なんなんだろ? 心臓の方がな……こうドキっ! ってなったんだもんよ。絶対に俺は望以外に恋をするなんて思ってなかったのにさ……だけど、心臓がな……ドキドキってして……あー、でも、なんでなんだろ? 違う違う! 俺はまだ認めてねぇぞ!」

「じゃあ、まだ、完全に好きになったって訳じゃないのか?」

「あ、ぅん……まぁ……そうなのかもしれないし、そうじゃないのかもしれねぇし、まだ、自分ではハッキリとはしてないような気がするし?」

「でも、拒否とかじゃないんだからさ、少しは興味あるって所だよな?」

「あ、うん……とりあえず、仕事は出来る奴だっていうのは認めるんだけど……」

「……って、それって、方向違くねぇ?」

「え? あ、うん……」


 そう和也は暫く考えると、


「あー! もう! いい! 分かりました! はい! 認めます! 俺はどうやら、アイツのことが好きになったようなんです!」


 そう和也は裕実のことを好きだということを、望に認めたらしく、堪忍したように望の肩へと両手を置くのだった。


「やっと、認めたんだな……」

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