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ー天災ー101

「望? 雄介は大丈夫なのか?」

「ん? ただ寝てるだけだからな。だから、大丈夫だよ」

「ふーん……そう」


 和也は少し雄介のことが心配になったのか、そう聞いてきた。でも医者である望がそう言うのだから大丈夫なんであろう、と思ったのか、再び和也は裕実とイチャイチャとふざけ合い始めた。


 望の隣で寝息を立てながら幸せそうに眠っている望の恋人、雄介。


 望は雄介の額にさりげなく触れてみたが、何やらざらついた感触がし、自分の手を見ると砂や泥が付いてしまっていることに気付いた。


「はぁあ!? 何でこんなに砂とか泥とか付いてきたんだ!?」


 望は叫んだが、そこは和也の方が冷静だったのか、


「それは仕方ないんじゃないのか? 俺たちの仕事は屋内だけど、雄介の場合は屋外で仕事してるんだろ?」

「え? あ、まぁ、そうなんだけどさ。俺、ちょっと下から蒸しタオル持ってくるな」

「じゃあ、俺のもー! ってさ、そろそろ、望の方も拭いた方がいいんじゃないのか?」

「あ、ああ、そうだな。そうするか。身体の方もベタベタし始めてきてるしな」


 ドア付近まで行っていた望だったが、和也にそう言われて急いで下へ取りにいく。


 しばらくして望は部屋に戻ってきて、四人分の蒸しタオルを持ってきて、和也や裕実にも渡す。そして雄介の隣に座ってから、蒸しタオルを広げてふざけるように雄介の顔に置くのだ。


 それに気付いた雄介は、


「熱いじゃないかいっ!」


 と言って起き上がって来た。


「蒸しタオル持ってきたから、それで身体拭くといいと思うぜ。とりあえず、拭かないよりはマシだろ?」

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