目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

ー天災ー105

 そして望から裕実に言った言葉は、嫌味とも言えるし、嫉妬丸出しのものとも言える。


「あー、ごめんな。本宮さんさ、コイツは一時的にこっちに来てるだけだからさ、この仕事が終わったら向こうに帰っちゃう訳……だから、多分! 本宮さんにそういう事教えている暇はないと思うんだよね」


 そんな風に説明している望に笑いを堪えているのは和也だった。


 そして、雄介の方はそんなことを言っている望の顔を覗き込む。


「え? あ、俺……なんか変な事言ったか?」


 そう言う望の発言に対して、雄介は逆に嬉しそうな表情をしていた。


 そう思った直後、裕実からあっさりと意外な言葉が出てくる。


「やっぱり、吉良先生と桜井さんって、そういう関係だったんですねー」

「……ん! そうなん……」


 雄介が最後まで言葉を言い切らないうちに、望は雄介が何を言おうとしたのかを理解し、雄介の頭を叩くのだ。


「ちょー、今のめっちゃ痛かったしー」

「お前が変な事言おうとしてるからだろうが!」

「ええやんか……俺たちはラブラ……」


 と、また最後まで言い終わらないうちに、雄介は望に頭を叩かれる。


「本気で叩くなや……ホンマに痛いんやって……」

「それなら、そんな事、言うんじゃねぇよ……」


 望は顔を赤らめながら両腕を組み、ため息を漏らす。


「……って、吉良先生。桜井さんが言わなくても、僕的には昨日の時点で気付いてましたからね」


 そうクスリとする裕実。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?