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ー天災ー118

「どうしたんだ? 望……まだ、顔色が悪いようにも思えるんだけど……。体調が悪くなったか?」

「ぁ……いやー……とりあえず、寝れたから、その……体調の方はいいんだけどさ。ま、あ、いいや……本宮さんも和也も会議室に行くぞ」


 そう、歯切れが悪そうに言う望。


 そして、雄介に向かって、


「とりあえず、雄介はここから出るんじゃねぇぞ」


 なんてことを言っている望に、和也や裕実は首を傾げながらも、望に促されて会議室へと向かうのだった。


 今日の望はいつもと違う様子だ。


 確実に何か隠し事をしている。


 病院の廊下を歩く三人。窓から階下を覗くと、今は闇の世界しか広がっていない。


 後どれくらいでライフラインが復旧するかなんて事は分からない。だが復旧しないなんて事はないのだから、今はただひたすら待つしかないようだ。


 そして、


「な、望……望?」


 和也は望に声を掛ける。


 だが何か考え事をしているのか、望からの返事はない。


「望ってばっ!」


 そう、気持ち大きな声で言うと、やっとのことで気付いたようで、


「……え? あ、何だ? なんか今言ってたのか?」

「まったくー、人の話聞いてなかったのかよ」


 そう、呆れたように言う和也。


「部屋を出てからの望……なんか無口なんだけど……何かあるのか?」

「いや……別に……」


 そう、望は和也の問いに一言だけ返すと、窓の向こうへと視線を逸らしてしまう。


 そんな態度を取る望に和也が気付かない訳がない。 だが何があるのかは望の口から聞かないと分からないところだ。


 暫く歩いていると、やっとこの広い病院内にある会議室へと到着する。

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