「どうしたんだ? 望……まだ、顔色が悪いようにも思えるんだけど……。体調が悪くなったか?」
「ぁ……いやー……とりあえず、寝れたから、その……体調の方はいいんだけどさ。ま、あ、いいや……本宮さんも和也も会議室に行くぞ」
そう、歯切れが悪そうに言う望。
そして、雄介に向かって、
「とりあえず、雄介はここから出るんじゃねぇぞ」
なんてことを言っている望に、和也や裕実は首を傾げながらも、望に促されて会議室へと向かうのだった。
今日の望はいつもと違う様子だ。
確実に何か隠し事をしている。
病院の廊下を歩く三人。窓から階下を覗くと、今は闇の世界しか広がっていない。
後どれくらいでライフラインが復旧するかなんて事は分からない。だが復旧しないなんて事はないのだから、今はただひたすら待つしかないようだ。
そして、
「な、望……望?」
和也は望に声を掛ける。
だが何か考え事をしているのか、望からの返事はない。
「望ってばっ!」
そう、気持ち大きな声で言うと、やっとのことで気付いたようで、
「……え? あ、何だ? なんか今言ってたのか?」
「まったくー、人の話聞いてなかったのかよ」
そう、呆れたように言う和也。
「部屋を出てからの望……なんか無口なんだけど……何かあるのか?」
「いや……別に……」
そう、望は和也の問いに一言だけ返すと、窓の向こうへと視線を逸らしてしまう。
そんな態度を取る望に和也が気付かない訳がない。 だが何があるのかは望の口から聞かないと分からないところだ。
暫く歩いていると、やっとこの広い病院内にある会議室へと到着する。